エピローグ

 混沌竜を倒し、大急ぎでラインハルト公爵邸の自室へと戻ってきた僕はすぐに身支度を済ませ、地下室へと行く準備を整える。


「それじゃあ、行ってくるね」


 諸々の事情を僕が何も話していないため、急かされている理由もわからないまま僕に従って急いで戻ってきてくれたマリーナに僕は笑顔で告げる。


「いってらっしゃいませ。アーク様」

 

 僕を


「うん。愛しているよ」

 

 部屋から出た僕はマリーナに向かってそう告げる。

 あの日から。

 婚約者としてマリーナが僕のもとにやってきた日からいつもマリーナに『いってきます』を言う際、必ず言うようにしている『愛している』の言葉。


「……」

 

 僕の言葉に対して必ず返してくれるマリーナの愛しているの一言が

 

 

 

                 ──────          出なかった。




 マリーナの愛しているが聞けなかったことに僕は小さな疑問を持ったが、幼少の頃からずっとこの日のために暗躍して来た僕はこの大一番を前にその疑問を頭の奥底へと追いやって地下室へと向かってしまった……。












                                     な

                                   ん

                                 で

                               ?

                             







            魔王が目覚める。

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