第25話

「……結局ずっと見ているだけで終わった」

 

 あまりにも巨大すぎるドラゴンが荒れ狂う。

 その影響は大きく、大地には大きな亀裂が入り、山々が振動で崩れてしまっている。

 しかし、それだけだ。

 空に浮かんでいる僕とマリーナには何の影響もない。

 ただ見ているだけで混沌竜の作り出す時空間をぶち壊す準備が出来た。


「行くよ……マリーナ」


「わかりました」

 

 僕の言葉にマリーナは頷く。

 それを確認した僕は大規模場な魔法を発動させ、混沌竜の作り出す時空間を完全に


 

 ……

 

 

 …………

 

 地面が紅蓮に彩られ、空が悲鳴を上げて虹色を吐き出す。

 時空がボロボロとこぼれ、あるべき世界の姿を晒していく。


「あれが……本来の混沌竜ですか」

 

 偽りの空間が消え、本当の姿を晒した混沌竜を見てマリーナがポツリと言葉を漏らす。


「そうだね」


「それでも十分大きいですね」

 

「まぁ、最強とも呼ばれる竜の一種だしね。そりゃ大きいよ」

 

 先程まで山に等しき巨体で荒れ狂っていた混沌竜はかなりの大きさの竜ほどの小ささに落ち着き、荒れ狂うことなくこちらを見上げていた。

 

「ここからが本番……さっきまでは大きさこそが最大の難点だったが、次からは魔法だったり、素早い攻撃だったりもしてくるから、気は抜けないよ」


「わかりました」

 

 僕の言葉にマリーナは神妙な顔つきで頷く。


「ガァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」


 鋭い咆哮と共に混沌竜は翼をはためかせ、体を浮かせようとした瞬間……混沌竜の体が何本もの糸に拘束される。


「ガァッ!?」

 

 糸に全身を捉えられた混沌竜は動くことが出来ず、変な声を上げて無様な姿を晒す。


「よし!今だ!袋叩きだッ!」


「……え?」

 

 僕が張り巡らせた糸に絡まった混沌竜の方へと僕は突撃した。

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