第23話
僕の打ち出した巨大な槍は空気を斬り裂いて勢いよく宙を滑走し、そのまま轟音と共に山へとぶつかる。
それと同時に。
「ガァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
その場を大きく揺らす咆哮が響き渡り、地響きと共にゆっくりとその巨体が動き出す。
「きゃ!?」
一つの山ほどの巨体が動き出す。
さすれば当然、周りへの被害も甚大。
僕やマリーナが立っている場所もひどい振動に襲われ、マリーナは小さく悲鳴を上げる。
「あ、あんなのとどう戦えと言うのでしょうか……?というか、混沌竜はあそこまでの大きさなのですか?混沌竜に関する情報は驚くほどに少なかったのですが……あの巨体に関する情報くらいあっても良いのではないでしょうか……?」
「あぁ……大丈夫。本物の混沌竜はあんなに大きくないから」
「……へ?」
「混沌竜性質は文字通り混沌……色々と混ざっていてカオス。詳しくわからないけど、ごちゃまぜになった多くの性質が時空を捻じ曲げて異空間を作り、混沌竜の体を大きく見せているだけ。混沌竜の時空間を打ち破れば……まぁ、そこそこの大きさの竜に落ち着くんじゃない?」
「な、なるほど……!でしたら!」
「あ、たしかに僕なら打ち壊せるけど、時間がかかるかなぁ……だから、少しだけこの状態の混沌竜と戦わなきゃいけないかも」
「えっ……」
僕の言葉を聞いたマリーナは絶望的な表情を浮かべる。
「まぁ、でもあの状態の混沌竜をぶち倒さないといけないわけじゃないし、楽勝でしょう?」
「……まぁ、生き残るだけなのであれば問題なさそうですね」
僕の言葉にマリーナは頷く。
混沌竜は実に大きく、ここから感じる魔力も桁違いではあるが……僕たちに強烈な危機感を与えてくるほどの存在ではない。
殺されることはないだろう。
「ガァァァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
その場を大きく揺らす咆哮を再び……そして、混沌竜はその場を大きく跳躍して僕たちの方へと迫ってくる。
「やるよ。マリーナ」
「了解致しました」
こちらへと迫ってくる混沌竜を前に僕とマリーナは戦闘態勢へと移行した。
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