第22話
爽やかな風が木々を優しく揺らし、心安らぐ音楽を奏でる。
「チュンチュン」
そんな音楽に彩りを添えるかのようにそっと伸ばした僕の腕に降り立っていた小鳥が鳴き声を天へと響かせる。
木々に覆われ、多くの動物や虫、植物が大合奏を奏でる大自然の中に僕とマリーナはいた。
「ふんふんふーん」
僕は機嫌よく小鳥の足を撫でながらマリーナと共に森の中を進んでいく。
「かわいい小鳥ですね」
「うん。そうだね」
僕はマリーナの言葉に頷いたあと、腕を伸ばして小鳥を自分のもとから飛び立たせる。
一直線に空へと飛び立った小鳥は迷いなく翼を開き、どこかへと飛び去っていく。
「さて、と……そろそろ良い加減混沌竜を倒すべきかな?」
小鳥が肉眼では捉えられてなくなった頃、僕は口を開く。
「……っ!やっとですか!?」
「うん。三日も待たせちゃってごめんね……でも、これで大丈夫なはずだから」
僕とマリーナは混沌竜の目撃証言があったこの森へとやってきたのは三日前。
この三日間、僕のわがままで何もせず、ここで野宿していたのだ。
「そうですか。混沌竜がどこにいるかは既にわかっているんですか?」
「もちろん。僕は時空間魔法のスペシャリストだよ?どこにどんな生物がいるのかを把握する感知能力は誰にも負ける気はないよ。混沌竜ならもう既に目で確認できる位置にいるよ」
「……?ど、どこですか?」
僕の言葉を聞いたマリーナが首を傾げ、少しだけ焦ったように周りを見渡す。
「んっ」
僕はまっすぐに指を指す……指した僕の指はマリーナへと向いている。
「えっ!?私ですかッ!?」
「違う、違う。後ろ見て?」
慌てたように声を上げていたマリーナは僕の言葉を聞いて視線を後方へと向ける。
そこにあるのは一つの巨大な山である。
「あの山がそうだよ」
「……は?」
マリーナの背後にそびえ立つ巨大な山を見てマリーナは呆然と口を開けた。
「そいやァーッ!!!
僕はそんなマリーナを無視して一つの巨大な槍を異空間から打ち出した。
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