第11話
「はぁー」
深々とため息をつく僕。
彼女であるマリーナとの愛しの逢瀬とは打って変わって今日。
ラインハルト公爵家へと呼び出され、飛行魔法でラインハルト公爵家の領地の方に向かっていた。
向かっている理由は父上に会うため。
自由気ままに、馬よりもはるかに速い速度で空を駆け抜ける僕は父上に会うという憂鬱感に苛まれていた。
「そんなに深々とため息をつかないでください……これもまた大切なことですから」
僕の横で飛ぶマリーナがため息をつく僕を嗜める。
「それはそうなんだけどね」
僕はマリーナの言葉に同意するも、心の憂鬱感は除かれない。
「あぁ……ついてしまった」
飛行魔法による移動の速度は圧巻の一言。
さほど苦労することもなく、たった3時間程度でラインハルト公爵家の領地へとついてしまった。
馬車で二日はかかる距離を飛行魔法だと3時間で駆け抜けられる……飛行魔法はこの世界でかなり重要な魔法だ。
「降りますよ。アーク様」
「うん。わかっているよ」
僕はマリーナと共に高度を落とし、地面へと向かっていく。
「おかえりなさいませ。アーク様」
マリーナと共に天空より屋敷へと舞い降りた僕を出迎えるうちの家に仕える執事。
「ご当主様がお呼びにございます」
「……うん。わかっているよ」
僕は嫌々ながらも執事の言葉に頷く。
「それでは行ってらっしゃいませ。私は先に自室の方に出向き、お待ちしてますね」
「うん。わかったよ」
僕はマリーナの言葉に頷き、手を振ってから執事さんと共に父上のいる執務室へと向かった。
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