第4話

ブーブーブーとアラーム音が鳴る。

「ん……ふあぁ」と欠伸をし、起き上がる。

今日は休みの日なのだが、アラームを掛けていた。

何故かと言うと、真宇と出かける約束をしたからだ。

眠たい目を擦りながら、スマホを手に取り、真宇に連絡をする。


【おはよぉ(眠い顔文字)】と送り、リビングに行き、薬を飲む。

ゴクンと水と一緒に薬が喉の奥に流れていく。

目が覚めやすい薬を飲んで、スッキリした所で、ご飯と身支度を始めた。


自分の部屋で、ヘアセットをしていると、ピコン!とスマホの通知音が鳴った。

真宇からの返信だった。


【おはよー!準備中なう】と返ってきていた。

【同じく準備中なう】と返し、準備を再開した。



「行ってきまーす!!!」と母親に言ってから家を出た。


真宇との待ち合わせ場所に急いで向かう。


40分歩いて、待ち合わせ場所のカラオケに着くと、真宇が先に来ていた。



「やっと来たー。」

「遅刻はしてない!!」と軽口を叩きながら、カラオケの中に入って行く。



「ーーーー♪」曲が終わり歌い切る。


「頼むから、忘れてくれ……」と自分自身に語りかけるが、忘れる事はできなさそうだった。



もし今日、忘れるきっかけが起こるのであれば良い。



そう願いながら、残りの時間を過ごしていた。





カラオケの終了時間が迫り、会計をする事にした。


「いやー、歌った!」と笑顔で話す真宇だが、少し悲しそうだった。



そりゃあそうだろう。

だって、執着を持ったまま、カラオケに行き失恋ソングを歌い続けたのだから。

もちろん私も同じ気持ちだった。



執着なんて消える事なく、ただ苦い思い出が、全身に蘇っただけだった。


苦い思い出という名の飴を舐め続け、歌う。

感情に任せ、苦い思い出の飴を噛み砕いたら、少しはマシになっただろう。



だが、私達はそれが出来なかった。

結局苦い思い出を思い出しただけ、いつもと変わらない考えになってしまった。



また、元通りの考えが張り付いて離れてくれなかった。

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