第二十一話 ブレイブ(2)
「今まで本気じゃなかったのかよ…」
「ネズミを狩るのに全力を出す獅子はいなかろう。」
「窮鼠猫を噛むっていう言葉もあるだろ。やってみなくちゃわからない。」
「ふむ。そうかもな。結果はわかりきっているが…」
そしてお互い臨戦態勢に入る。
『侵食せよ』
いうが早いか、奴は俺に向けて手をかざしてきた。
黒いオーラが放たれる。当たったらまずそうなのでとりあえずよける。
避けた先には墓標があり、黒いオーラに直撃した。オーラは墓標を包み込むようにして広がると、消え去った。よく見ると墓標は黒く染まり、一部が崩れた。
なんだあの破壊攻撃。当たったらシャレにならないぞ。
でもまあ…
「当たらなければどうってことないだろ。」
「威勢がいいの。だが、どこまで続くかの。」
奴の言葉を聞き流しつつ、俺は奴に肉薄する。
先ほど必殺技を使わなくても攻撃を当てられることは判明したが…如何せん聞いていないようだったからな。とりあえずもう一回攻撃を当ててから考えよう。
「ふっ!」
さっきとは違い、頭を串刺しにしてみた。どうだろうか。
「いい一撃じゃ。あと百発ぐらい当てれば倒せるかもしれんぞ?」
効かないのかよ。すかさず剣を引き抜き、首を斬ろうとして、避けられる。
「ただそう何度もやられてるのも楽しくはないの。さあ、これでもまだその表情を保っていられるか?」
『侵食せよ』
また攻撃してきた。まあ遅いから避け…
「くそっ」
体を傾けた瞬間にスケルトンに足を掴まれた。忘れていたわけではないが、完全に意識外だった。二つとも攻撃や動きは遅いのに、合わさるとかなり凶悪だ。
特にスケルトンはかなりの数がある。足止めとしてはもってこいだろう。
ああ、俺も黒く染まって死ぬのか…せめてもの抵抗に、必殺技でスケルトンをある程度道連れにしようか。そう思っていた俺の頭にある一つの名案が思い浮かぶ。
かなりの博打だ。成功するかはわからない。
「まあでも…やらないよりましか。」
すぐそう判断した俺は、手前にいるスケルトンの頭を切り落とす。
垂直に刃が入ったようで難なく落ちた頭を、俺はぶん投げた。
すると黒いオーラに当たった頭は、オーラに包まれて崩れていった。
「ほう。この技の性質を見破り二度目で対策を講じてくるか…末恐ろしいのう。」
「物の正体を考察するのが趣味でね。ボールなら数日前に投げたしうまくいくかは賭けだっがな。」
そして技の反動か、硬直している奴に向かって刃を振るう。
何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。何度も。
「うっとしいわぁ!なんなんだ、貴様は…
普通諦めるだろう。何度切られても蘇り、対象を崩壊させるような魔法を放ってくる上に、大勢の魔物を操る敵に!圧倒的に力の差のある敵に対し!なぜ貴様は刃を振るえる!効かぬとわかっている攻撃をなぜ放つ!」
その言葉を聞いた俺は自然と…嗤っていた。
「ククク…」
「貴様、何が可笑しい。」
「自分を盛るなよ、見苦しい。攻撃が効かない?そんなことは一言も言っていなかった。本当に攻撃が効かないのならば、わざわざ避ける必要なんてないはずだし、後百発ぐらい当てれば倒せるなんて言わない。
お前は最初に先手を譲ると言って俺を騙して攻撃してきた。そこから分かるお前の性格は、下劣な嘘つきであるということだ。下劣な嘘つきは自分が不利になる嘘は吐かない。
して、お前の先刻の発言だ。『あと百発ぐらい当てれば倒せるかもしれない』という言葉は、お前の利になるような嘘であるとは思えない。
俺に希望を持たせてそれをへし折るという考えの可能性も、先ほどお前は『なぜ俺が効かないとわかっているのに切り続けている?』と質問したのを踏まえると、自分が百回も切られることは想定していなかっただろう。
もし倒せるかもという希望を持たせるのなら、10回ほどの現実的な数字を言うはずだ。
よって先ほどのお前の発言は正しく、お前は100回ほど切れば死ぬ。
というのが俺の考察だが、どうだ?回答を聞かせてほしいな?」
「一つ聞かせてくれ。我が何も言わなくても貴様は何度も我を切ろうとしたか?」
「当然。もし本当に効かなかったとしても、お前だって体が崩れれば嫌な思いするだろう?俺の自己満足でもいい。お前が少しでも不快に思ってくれるのなら、俺は何十回、何百回、何千回とお前を切り続けよう。無辜の人間を殺すというのがどれだけ罪深いことなのかをよくその身に刻んでやろう。」
「クハハハハ。嗚呼…面白いのう。こんな愉快な人間にあったのは久しぶりじゃ。なかなかに狂って居るのう。これはこの姿では面白くない。本体で以て叩きのめしてやろう。お主、名を名乗れ。」
「……。」
「だんまりか。まあそれもいいじゃろう。我はエルダーリッチのディスクじゃ。また相まみえたときは、お互いもっと心躍るような死合いをしようぞ。小細工はなしじゃ。圧倒的な力の差で叩き潰してやろうぞ。」
ディスクがそう言うと、あたりにはホワイトアウトのような白い霧が立ち込めてきて、一瞬で奴を見失ってしまった。
「待て!」
奴のいたところを斬った後には、空中には何も残っておらず、一体の白骨がそばに横たわっていた。
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投稿遅れて申し訳ありませんでしたぁ!!!!!
_○/|_ (土下座)
なんかテスト期間中って言われてパソコンぐるぐる巻きにされてました。次からは書きだめします。
しかもなんか伏線を4つぐらい貼っていたのに一つしか回収できていない事実…ままならないものですねぇ。それは後に行かせそうだから置いておくとして。
まあいろいろ終わり、元の更新頻度に戻せると思いますので、しばしお持ちください。
評価、フォロー、感想、誤字脱字の報告など下さいますと大変うれしいです。
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