第十三話 ギルドカード作り

謝罪

カリギュラ効果というのは禁止されるほどやってみたくなる心理現象のことです。

名前めっちゃかっこいいんで一回使ってみたかったんです。わかりにくい言葉を使用してすみませんでした。

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「きりーつ、きょうつけー、れーい」

「「「「「「ありがとうございましたー」」」」」」


あー疲れた。学校が終わった。今日は陽太部活みたいだし一人で帰るか。

そう思って席を立って教室を出ようとしたら…なぜかあまり話さないやつが話しかけてきた。


「よお鞍馬、朝の約束な。RIMEのID教えてくれ!」


朝の…約束?

三秒ほど考えて思い出す。ああ、朝の陽キャか。名前は確か郷田だ。

まあ別に減るものでもないしと思ってIDを交換する。友達が増えるのは喜ばしいことだ。


「そういえば鞍馬、お前なんかゲームとかやってる?」

「うーん。いつもはホラーばっかりだけど最近another world onlineっていうゲームやり始めたな。」

「おお!おれそれ頼んでて三日後に届く予定なんだ!一緒にやろうぜ。」

「まあいいけど…」


すごい距離の詰め方だな。というか三日後ってタイムリーすぎだろ。そんなに人気なのかあのゲーム。もしや俺は初めて流行というものに乗れたのかもしれない。俺は流行に疎いらしい。いまだにタピオカ飲んでないからな。


「じゃあ三日後なー」


そういって郷田は朝と同じように、嵐のように去っていった。


「じゃあ帰りますか。」


取り残された俺はぼっちで帰った。夕日がきれいだったな。



■■■


「さて、やろうか。」


準備も済ませ、俺はゲームの電源を入れた。いつもと同じような発動音を立てて、俺は再びゲームの世界に入った。


「とりあえずなにかしよう。」


陽太に変な行動は慎むようにと言われた。だがしかし、そういわれるとやりたくなってしまうのが人の性。見事にカリギュラ効果を発動させた俺は、とりあえず森の中を歩いていた。

何をしてもいい自由な状況下で何かをする。それはもっとも難しいことだと思う。完全に自由で創造するよりも、決められたことをやっていたほうが楽なのだ。

だがしかぁし!俺はそれに反抗する!なぜなら俺は型にはまらない男だから!

なんてことを心の中で呟きながら、日和った俺はとりあえず昨日のギルドに来て、見た目は怖いが実はとてもやさしい受付のダラットさんのところへ行く。


「なにかおすすめのクエストありますか?」

「おお、昨日のやつか。ふーむ。だが俺はお前の情報を何一つ知らないからな。お前さん、ギルドカードを持ってるか?」

「持ってません。」

「そうか。ちょっと待ってな。」


そういってダラットさんはカウンターに羊皮紙とペンを持ってきた。


「ここにお前の個人情報を入れてくれや。個人情報の開示が嫌だったら断ってもいいぞ。ただ、メリットも多いから損はないぜ。」

「まず一つ目のメリットだ。これは身分証となる。依頼の難易度や達成回数が多いほどいろんな場所で尊敬されるぞ。」

「二つ目のメリットは依頼を達成した時に成功報酬が1.1倍になるぞ。」

「1.1倍?すごいな。」

「それだけじゃない。このカードはクエストを達成すればするほど豪華な特典がもらえる。最初はクエストを10回クリアするとポーションがもらえるな。」


なんかもう身分証明書とポイントカードを合わせたみたいな仕組みになってるな。すごい便利だしありがたいからいいけど。


「了解です。じゃあ作ろうと思います。でも紛失した場合どうすればいいですか?」

「それは別に心配しなくていい。一人一人の魔力の波長を覚えさせるから、もう一度作れるし、別のやつが持つと変色する。本人が持つと戻るがな。」


めっちゃ便利システムじゃん。ご都合主義といってもいいぐらい完ぺきなカードだ。現実にもほしいな。ATMとかもないから悪用されることもまずないし。そして個人情報を書き終わる。


「情報は書いたな、よし、この水晶玉に手を置け。」

「はい。」


「パリィン」と華やかな音がして水晶玉が砕けた。


「え?」


俺また何かやっちゃいました?とか思いながら驚いていると、ダラットが笑っている。


「初めて見た奴はびっくりするよな。ほら、見てみろ。」


見る見るうちに水晶玉が羊皮紙の上でカードの形を成していく。


「これはこういう仕様だ。なぜか一部の異邦人は砕けた瞬間に『俺は特別だ』とか大声上げたり笑ったりするんだが、お前理由知ってるか?」

「いやあ、わからないです。」


魔力量が強くて割れるみたいなテンプレを思い描いてる人たちだろうなと思いながら、説明すると長かったのでやめた。


「おお、お前ネクロマンサーか。珍しいな。」

「そうなんですか。」

「ネクロマンサーだったらこの仕事はどうだ?」


そういってダラットから渡されたのは一枚の依頼書だった。

『墓場の掃除と幽霊退治』


「ネクロマンサーなら墓にはなじみ深いだろ。幽霊退治は聖水ぶっかけときゃ何とかなる。」


墓?最高じゃないか。幽霊だけじゃなくてゾンビともか出たらいいな。なんたってファンタジーだからな。いやあ面白くなってきた。


「喜んで受けましょう!」


そういって俺は意気揚々とギルドをあとにしたのだった。


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今日マックに行ったら人が多くて何事かと思ったら成人式前日でした。地味な格好でいたたまれなかったです。水晶玉の下りはテンプレを変えてみたかったので書きました。近々短編書こうかなーとか考えています。何かリクエストでもありましたら感想にでも。

評価やフォロー、感想、誤字脱字のご指摘などがあると大変ありがたいです。

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