『ざ、すぱい』 終末その1


 ぼくと彼女は、工場に連れ込まれそうになった。


 しかし、それは、非常に不味いと思えた。


 そのままでは、そこは脱出不可能な罠の中に違いないから。


 『まあ、直ぐに慣れて、みな、あたりまえになる。みんなそうだ。そう教育するだべ。逆らえないべ。マスターのテクニックだからなあ。』


 と、山西さんも、言うのだから。


 あと、2~3歩で、工場の入口というところにまで来たときである。


 ある、村人さんが、さけんだ。


 『やまにしさあ、たいへんら。連邦軍がなだれこんできたあ❕』


 『なに。そんなばかな。』


 『あの、制服ら、連邦軍ら。まちがいねぇだ。光線砲を撃ってるべなあ。』


 『ち。だれか、裏切ったかな。』


 『校長さんが、ここにも、むらさにも、いねえ。行方がわからねぇだ。』


 『なんと? あいつが? まさか。………いや、なるほどな、あいつだけには、そんなことも、やれるか。是非もない。終わりだな。村も地球もな。はははははは。あんたたち、道連れで悪かったな。まあ、ここは、諦めるべき時だ。』


 『冗談じゃない。諦めないさ。』


 ぼくは、気を抜いた、村人Cさんを蹴っ飛ばした。


 彼女も、村人Dさんを、そうしたのである。彼女のほうが、強いのは、明白であった。

 

 スパイ映画では、お馴染みのシーンである。


 ぼくらは、猟銃を奪い、脅しながら、さらにそのあたりの村人をなぎ倒す。あいては、『しろと』、である。



 山西さんは、ああ言いながらも、やはり、工場の方向に逃げる。


 村人たちには、わずかな猟銃しかない。


 しかし、連邦軍は、全員が、その、いわゆ最新型レーザー光線銃まで装備しているのだ。


 あたりには、光の影が飛び交った。

 

 おっと、こっちも、当たると大変だから、まずは、物陰に身を隠す。


 ちょうど良い場所に物陰があるのは、当然である。 


 というわけで、そのあたりは、あっという間に制圧されたのである。


 誰が、連邦軍を入れたのか?


 校長先生しか考えられないわけである。


 しかし、山西さんは最終行動にでた。


 工場から、轟音のアナウンスが響いたのだ。


 『自爆装置が始動しました。5分後に、この空間は削除されます。悪しからずご了解ください。脱出口は、閉鎖しました。みなさん、さようなら。こちらは、シルラ乙女座商会。繰り返します……』


 『シルラ乙女座? いや、すごく、まずいですね。』


 彼女が言った。


 『うん。まずいな。まさしく、バンザイかな。』


 しかし、そのときである。


 あの、影山さんが現れたのだ。


 『こっちに。脱出口は、確保しました。走って!』


 『え?』


 『話は、あとね。走る🚙💨❕』


 ぼくと彼女は、影山さんに引っ張られるように走ったのである。


 『撤退しろ。撤退だ。村民のみなさんも、生きたければ、付いてきてくらさい。ただし、逮捕します。さあ!』


 影山さんは、大きな穴、🕳️、に向かって走る。走るのである。みなが、そこに飛び込んでゆく。



   🕳️ 🏃 🏃‍♀️...🏃‍♂️

 


 


 

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