『ざ、すぱい』 下の10


 そこに、やはり拘束されている彼女が連れられてきたのである。


 彼女は、小さく恥ずかしそうに言った。


 『すいません。捕まりました。』


 『む。暴力されてないですか?』


 『それは、まあ、ない。今のところは。』


 山西さんが笑った。


 『拷問したりする意味がない。我らがマスターは、間も無く、地球を完全処理し、残された資源を余すところなく活用する決定を下した。地球は、最後のお役に立つのだ。わが村民は、その地球人の、代表として遇されるだろう。』


 『君たちも、きっと、抹殺だね。邪魔者だから。』

 

 『それはない。約束だ。わが村民は、永遠の命を得る。ご先祖たちも、生きている。君が見たもの、あれは、レプリカにすぎない。偶像だ。』


 すると、数百人に上ろうかというような多数の人達が、工場から現れたのである。


 生き生きとしているとは、ちょっと言いがたい雰囲気がある。


 生きたしかばね、みたいな感じと言ったらいいのか。


 でも、明らかに生きてはいる。


 幽霊ではけっしてない。

 

 なんなのだろう、この人達は?


 『古い人では、二代将軍さまと同い年だんべ。』


 『めでたいことですな。しかし、ちっとも称賛はできないよ。なんだあ?危険きわまりない武器をつくって宇宙にばら蒔く? そいつは、宇宙戦争とかにも、使われているのか?』


 『我々は、使い方に関知はしていない。しかし、まあ、そうではあるとは聞く。が、いいかね、宇宙には、危ないものは沢山ある。ブラックホール。超新星爆発。それを越える、巨大ブラックホール同士の衝突。それらに比べたら、これは、小さなものだ。なんら、宇宙の命運には関係しないし、まして、我々には関係がない。』


 『ばかな。ばかな。それでは、地球も太陽系も町内会もあったもんじゃないよ。だいいち、地球を破壊するだって? 関係ないわけがないだろ。』


 『わが東村は、生き残るのだ。永遠に‼️』


 山西さんは、両手を広げて、宙を仰いだ。


 すると、そのすべての人々が、同じように、空を仰ぐポーズをした。


 それは、ほとんど、運動会か、狂気の連鎖としか思えない。



 ぼくは、こいつはまるで、話にならないと、見たのである。


 先生は、こんなのと、仲良しなのか?


 どうなってるんだ?


 先生は、どこに、いらっしゃるのか?


 『いったい、マスターって、なんだ?』


 『きみが、知る必要がないものだ。』



      ⚡😭💣️


 

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