『ざ、すぱい』 下の9
『ここと、村とを行き来するには、パスが必要になる。村人は、ちょっと危険な一部例外と、18歳未満の子供を除いて、持っている。ただし、知らない人もいないではない。秘密を漏らされては困るのでな。しかし、もし、うっかり言おうとしても、必然的に話せなくなる。われわれ、一部以外は。』
『なんれすか。一部とか、未満とか。』
『たとえば、村長さんとかだべ。あんたとこから来た、秘書官さんも。』
『む。』
ぼくは、ちょっと詰まった。
『村長さんは、中央政府のすぱいだべ。しかも、かなりの、エリートさんだ。さすがの、とろい中央政府さんも、いささか、村に疑問を持ったみたいだべ。それには、あんたの本が多少なりとも、影響している。地下にうらん鉱脈があるというのは、政府のかなり重要な秘密だったべ。なのに、あんたさんごときが、あっさり書いている。いざというときの資源だったのよ。村は、それと知らずに管理していることになっていたわけよ。しかし、それさえが、頭からの虚構だったことに、長く中央政府は気がつかずに来ていたのだ。ははははははは。ま、だましあい、だべな。』
なんと、都合の良い話しだ。
しかし、ならば、誰がこんなあり得ない施設やら、空間を作ったのか。
『それは、我々の知るところではありませぬな。知る必要もない。』
『む。なら、なんの、仕事をするわけですか?』
『なに。実に簡単だべ。コントロール・ルームで、必要なときに、正しいタイミングで、正しいキーを押すだけよ。ピアニストみたいなものだな。』
『む。それは、ピアニストを愚弄していますな。で、なにを、やってるの? あるいは、作ってるの?』
彼は、口に指を当てた。
『そいつは、かなり秘密だったべ。これまでは。この空間では、宇宙で一番の、危険な、爆発物や、ときには、秘密の武器を作ってるだ。太陽系全体を吹き飛ばすようなのもあるとかだべ。ウランはその原料のひとつにすぎないべ。まあ、詳しくはわからんがね、たとえば、地球人類にも分かる簡単なのでは、純粋水爆とか。宇宙での需要は高いらしいべな。戦争よりは、惑星開発なんかに、使うらしい。村のウランは、最高級品なんだべ。』
『む。これまで、とは。?』
『さよう。隠す必要がなくなるべ。間も無く、地球は、消滅するずら。ただし、ここは、関係ないし、あんたさんも、晴れてここの住民になる。あんたが好きな、あの秘書官さんも。村長は、船と運命を共にするものよな。』
『うな、ばかな!』
ぼくは、叫んだ。
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