『ざ、すぱい』 下の7


 ぼくは、ここで、つまり通信圏外になった。


 こうなった場合、わが町から、ミサイルが発射されることになっているのは、あらかじめ判っていたことである。


 しかし、そうではなくても、町長は、発射したに違いないけれど。


 ちょっとだけ、ゆっくり飛ぶので、着弾までは、15分くらいであろう。


 ただ、この地下基地は、予想よりもかなり深いし、たぶん、破壊はされないかもしれない。


 そうなると、もしかしたら、最悪だろう。


 当然、反撃されるに違いないからだ。


 いったい、彼らが、何を持っているのか、ほんとうに、わからなくなってきていたのである。


 

   🍵🍵🍵🍵🍵



 ぼくは、不可思議な世界にいた。

 

 そこは、つまり、なんといいますか、外の世界である。


 洞窟でも地下でも室内でもない。


 外、なのだ。


 青い空が広がり、周囲は森だった。


 前方に、かなり大きな建物がある。


 しかし、どうも、質感が普通ではない。


 これは、見た目の感覚だ。


 鉄筋コンクリートの建物にしては、あまりに、しなやかで、しかも、継ぎ目がまったくない。


 窓もない。


 『な、な、なんですか? これは。』


 『ここは、我々の時間からは隔絶した場所だ。正直どこかはわからないがね。わが、ご先祖さまたちも、たまたま、ここに来た。それは、ぼくらより、ぶったまげたにちがいあるまい。ぼくらは、まだ、ビルとか工場とかを、知っているからな。まあ、中に入ろう。ここまできたら、誰も阻まないよ。』


 中西さんたちは、ぼくを壁の一部に連れていった。


 すると、壁に穴が空いた。


 すっと。


 『ハイテクだんべ。』


 中西さんが、にやっと、笑ったのである。


      🚪


  


 


 

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