『ざ、すぱい』 下の3


 歩くことさらに30分。


 ぼくは、ついに着くべく場所に着いたらしかった。


 そこには、盆踊りの櫓のようなものが建っている。


 周囲にはオイル・ランタンが複数かかげられていたが、あまり明るいわけではない。


 櫓の中心には、しかし、穴があるみたいである。


 梯子もちょっとだけ見えていた。


 さっきから防塵マスクをした上に、ガムを噛みながら歩いていたが、隙を見てガムを柱に張り付けた。


 こいつは、噛むと約6時間電波を発射する。


 われらが超小型衛星が反応すれば、爆撃はとりあえず停止されるだろう。


 しかし、時間は短い。


 『下に降りていただきます。』


 きつね仮面の連中が言った。


 『はいはい。』


 ぼくは、大人しく従った。


 梯子は、たいがい、降りにくいものである。


 しかも、灯りは小さく、慣れないぼくには状況が判らない。


 それでも、そこは、スパイ訓練は一応受けている。


 なんとかかんとか、地下に到着したのである。


      🕯️ 🕯️

 

 そこは、わりに広い洞窟だった。


 『ここは、あの、村の中の観光洞窟につながってますか?』


 ぼくは、尋ねた。


 『それには、答えられない。』


 と、返事が来た。


 わざわざ、空から連れてきたくらいだから、洞窟の中は見せられないのだろう。


 『ミサイルとか、ありそうですね。』


 『ノーコメント。さあ、きたまえ。』


 ぼくは、洞窟の中を、また歩かされた。


       🚶‍♂️


 


 


 

 

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