『ざ、すぱい』 下の2
すると、別のひとりが、ぼくに、ヘルメットを手渡した。
『あ、ども。』
ぼくは、素直に受け取って被ったのである。
ぼくらは、その小さな空き地から、さらに深い深い森の中に分け行った。
管理団体の人達は、さすがに馴れているとみえて、けものみちらしきを、すいすいと歩いてゆく。
しかし、馴れているというだけではないのは、ちょっとあとになって判ったが。
『この先は、しゃべってはなりませぬ。』
先導していた人が、立て看板を指差した。
『この先、私語禁止』
と、あった。
まあ、しゃべる理由はない。
かなり、長い距離を歩いたように思う。
時間にしたら、1時間近かったのだ。
ただし、上がり下がりの激しい山道である。
ぼくは、身体検査とかは、一切されなかった。
バックのなかみも、ノーチェックである。
緩いと言えば緩い。
まあ、某国のようには、武器は持ち歩かない。
そこが、わが連邦国の良いところだ。
ただし、自治体は武装しているが、武器は警官と軍人しか持たない。
それだって、とりわけ変わったことでもない。
国内で、武力紛争がある国だって、いくつもある。
ぼくは、小さな記録装置は持っているが、GPSなどは、こんな場所では使えない。
しかし、いまは、たぶん、我が町の、超小型空中衛星が上空を飛んでいる。
いわゆる、スパイ超小型低空衛星である。
小さすぎて、レーダーでは分からない。
ただし、森の中は、全くみえないから、普段は意味がない。
今は、ちょっと別である。
まあ、見つかるかもしれないが、そこらあたりの、東村の実力は、良く分からないのだ。
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