『ざ、すぱい』 中の15
席に戻ったぼくは、次に、問題の校長先生、つまり、図書館長にして、古から続く秘密結社のボス、に直接ご挨拶に当たることにした。
明日、あぽが取れているが、なにしろ、かつての恩師なんだから、挨拶して当然だ。
ただし、果たして覚えてくれているかは、別である。
ぼくは、歴史クラブに入っていた。
しかし、生徒の数は多いのである。
平凡で、当時、なんの目立った活躍もしていないぼくが、記憶にある可能性は低い。
こういう場合は、スポーツで賞を取ったとか、そういう連中が有利になりやすい。
とはいえ、こっちも、記憶にあるのは、若かりし日の先生である。
ぼくが、65歳を向かえようというのだから、当時20歳代終わりか、30歳ちょっとくらいだった先生は、80歳前あたりであろう。
時間というものは、大概は、残酷なものだ。
しかし、先生の姿は、宴会のはじめから、はっきり分かっていた。
真ん中から2つにわけた髪型は健在で、確かにかなり疲れてはいたが、しっかりとした痕跡が残っていたのである。
『せんせい、お久しぶりです。』
『やあ。やっと、回ってきたか。まあ、座れ。』
克子先生は、明確に言った。
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