第27話 12月20日 土曜日 C5

 SCAW内で宿泊することにした俺と湖奈。今はまた話しながらダンジョンへの入り口のある町へと戻っていた。


 ダンジョン内の町へと戻って来ると。まだ時間的には多くのプレイヤーがいた。

 ってか、このゲーム。夜の方が人が多いイメージなんだよな。俺達はいつも帰る時間だからこの後の事はあまり知らないが。帰る時にも結構SCAWセンターの方から、プレイヤーたちが歩いてきているからな。良そうになるが深夜帯の方が賑わっているのかもしれない。

 そういえば、普通に流れでというのか。湖奈に宿泊の許可を出してしまったが。湖奈は未成年である。大丈夫だのだろうか……俺が成人ってことで何とかなるのだろうか?ちょっとそんな心配をしていたが。


「とりあえず斗真先輩。ホテルの値段を見に行きましょう。ダメならダンジョン潜ってお金稼ぎですよ」

「——あー、だな、そこ大切だな」


 湖奈は特に何も思ってないのか。楽しそうに俺の腕を引っ張っている。とりあえずここから湖奈に帰ろうということは言えないので、俺は湖奈に引っ張られることを選んだ。

 

 それから俺とコナは、今日初めて知ったゲーム内のホテルへと向かった。ホテルはかなり大きな建物で、中へと入ってみると――規模がおかしかった。


「おお、マジか。結構利用してるな。って、でかっ!」


 ざわざわと言っていいだろう。かなりの人がホテルを利用していた。あと、でかっ!と俺が言っていると思うが。多分もっとビックリマークを付けてもいい。

 

 でかっ!!!!!!!!!!!!!!


 ってくらいにな。いや外から見えていたのは偽物なのかというくらい中が広い。入り口に入ったらまた異空間ですか?というのか。新たなゲーム世界?とにかく。馬鹿みたいに中が広いホテルだった。


「人が多いのは、土曜日ってこともあるかもしれませんね。って、中すごいですね」


 俺の横で湖奈も周りをキョロキョロ見ている。


「このゲーム内に居る人みんな住めそうなレベルだな」

「ですね。じゃ、住んじゃますか」

「あのな」

「てへへ。っか、斗真先輩。部屋空いてますかね?」

「どうだか。なかったら――だな」

「今更帰るのは嫌ですよ?」


 俺達はそんなことを話しながらとりあえず受付へと行くと、ここにもちゃんと受付のキャラというか。人が居た。ホテルの制服だろう。ピシッとした制服を着た女性キャラが立っていた。


「ご利用ありがとうございます。シングルルームの受付は左手のタッチパネルから。カップルルームは右手のタッチパネルから。パーティルーム最大3名様までの大部屋はシングルルーム受付奥にあります」


 そして笑顔で案内をしてくれたのだが――。


「……」

「2人の場合はカップルみたいですね。斗真先輩!」


 隣でニコニコ言う湖奈だが。ホテルの部屋の名前よ。ダブルとかじゃダメだったのだろうか?男2人でもカップルルームになるよな――?これだと。そんなことを俺は思いつつ。


「ちなみに、カップルとパーティルームの違いは――?」


 俺がそんなことをつぶやくと。さすがこのゲーム内というか。人工知能?なのかはわからないが。ちゃんと受付のキャラが答えてくれた。


「カップルルームの場合は、お部屋にキングサイズのベッドがおひとつとなります。パーティルームの場合は。シングルベッドが3つのお部屋になります」

「——あ、うん。ご丁寧にどうも」

「斗真先輩これはカップル一択ですよ。シングル2つよりカップルの方が1人分の料金安いですから」


 料金表を見つつ湖奈が受付の方へと行こうと引っ張ってきている。


「まあそれを言うと文がいればパーティルームで1人当たりの料金は最安だが――」

「今は2人ですからね。カップルルームが最安値です」

「——だな。いいのか?湖奈」

「今更問題ないですよー。前も一緒に泊まりましたし。さあ受付行きましょう!」

「——前は楓夕ふゆも居ただろうが」


 そんなことを話しながら俺と湖奈はとりあえずカップルルームの受付へと向かった。

 ちなみに受付といっても。先ほどみたいにホテルのキャラ?が居るわけではなく。タッチパネル操作で部屋を選んで。料金を支払うだけ。今日の俺達は骸骨に苦戦しつつもそこそこ倒していて、アイテムも得ていたため。お金は全く問題なかった。まあかなり減ったがな。でも、ダンジョンに潜ればアイテムを得て、それを売れば、お金は貯まるので問題ないだろう。


 支払いをすると部屋番号が表示された。また俺と湖奈のステータス画面にも新着通知として部屋の番号が届いた。

 それから俺と湖奈はその番号。5階の部屋へと向かう。ちなみに――階段だった。


「ゲーム内。便利にワープとかあってもいいのに――」


 階段を上りつつ湖奈がつぶやく。


「まあエレベーターがあるとは思わなかったが――らしくていいんじゃないか?こういうのも」

「そうですけど、5階まで登るのって地味に大変ですね」

「——だな」


 そんなことを言いながら俺達は階段を上り指定された部屋へとやって来た。ちなみに鍵はドアの前でステータス画面を開くだけらしい。


「ここですね」

「だな。普通のホテルって感じだな。ステータス」


 俺がステータス画面をドアの前で開くと。ガチャリとドアが開いた。便利なこったゲーム内は。

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