第26話 12月20日 土曜日 C4
苦戦しつつだったからか。時間も忘れて俺達はマグマ地帯の階層で攻略をしていると――それは突然訪れた。
「暑い!」
「暑っ」
「ドリンクの効果切れたみたいです!いやー、また汗だくです!」
どうやらアイテムを利用したら無限に暑さ寒さ耐性があるというわけではないらしく。突然俺達は暑さに襲われだした。
「そろそろ引き上げるか。かなり経験値溜まったし」
文が言うと俺と湖奈は即答だった。とにかく暑い。
「帰ろう。これは暑い。ヤバい」
「また汗だくですよーもう、お風呂ーです」
そんなこんなで、とりあえず再度俺達は汗だくになりつつも地上へと帰還した。
「ふー。大変だったが。骸骨相手はまあやりごたえあったな」
地上へと戻って来ると、文が武器を研ぎながら言った。
「まあな、骸骨に切られまくった気もするが」
ちなみに切断。とかいう怪我はなかったが。擦り傷とか。ちょっと刺された。はよくあった。怪我に関しては、湖奈が全て治してくれているので、今は傷もなく痛くもないが。痛みは身体が覚えているというね。切られたときはマジで痛いんだよな。精神的なダメージは残ると言ったものだな。
「まあとりあえず、解散か。じゃ、次は明後日でいいか?オレ明後日なら空いてるから」
武器を研ぎ終えた分が大剣を担ぎながら聞いてきた。
「私は問題なしです」
「ああ、了解。にしても最近は2日に1回ゲームだな」
「楽しいし最先端を経験は良いだろうが。それにもうすぐ冬休みだしな」
「あー、そうか来週で――か。まあ、良し帰るか」
それから俺達3人はダンジョン入り口の町を離れて、SCAWセンターへ。そして文が入口へとまず入り消えていく。これでログアウトだ。続く形で俺が――と、いう時だった。
「あっ。と、斗真先輩!」
「うん?なんだ?湖奈?」
俺がログアウトしようとすると。後ろを歩いていたコナが俺を引き留めた。
「えっと――その――斗真先輩」
「どうした?」
ちょっと恥ずかしそうに湖奈がしつつ。俺にをSCAWセンターの入り口前から隅へと引っ張ってきたので俺が付いていくと――。
「——斗真先輩は――明日お暇ですか?」
そんなことを聞いて来た。
「明日?あー、ああ、日曜日だからな。まあ家でのんびりだろうな」
「じゃ、じゃあ――明日も私たちで潜りませんか?」
「SCAWにか?」
「——はい」
小さく不安そうな表情で湖奈が頷く。
「まあ――いいけど。家でだらだらしているよりかは――か。まあ交通費がだが。この利用料かかってないからな。それくらいは問題ないか」
なんやかんやで、今日は暑いやらとかでいろいろ騒いでいたが。湖奈もかなりこのゲームにハマっているらしい。すると湖奈の表情が笑顔になり。
「あっ。えっと――斗真先輩」
「うん?」
すると湖奈はまだ何か言いたいことがあるらしく話しかけてきた。
「交通費なんですけど――かからない方法ありますよ?」
「——えっ?」
「——今日教えてもらったじゃないですか。このゲーム――ホテルありますよ?」
湖奈はそう言いながら町の方を指差した。
「あー、確かにそうだな。ここに泊まれば――ずっとログインだもんな」
「だと思います。えっと――どのくらいホテルの値段がかかるのかちょっとわからないんですが――ダメですかね?」
「まあ湖奈が良いなら。って、湖奈は予定云々の前に――帰らなくていいのか?親にも何も言ってないだろ?俺は1人暮らしだから問題ないが」
「だ、大丈夫です。その――実は今日たまたま私のところ両親が留守なんですよ。で。夜も暇だな――だったんです。はい」
「湖奈?事実は?」
「——良いじゃないですか。日曜日も予定ありませんから」
あー、これはあれだ。嘘だな。そのうち湖奈の両親に離しておかないと――事後報告になるが。でも湖奈のところなら――笑顔でOKしてくれそうだが。無駄に俺の信頼度高いからな……でもとりあえず本人が言った方がいいだろうから。
「湖奈。無断外泊だから。許可取ってこい」
「——むー。じゃ、じゃあ、パッとログアウトして連絡してきますから――斗真先輩のところに泊めてもらうと」
「それはそれで、あとで俺がいろいろ言われそうな――怒られるではなく――」
間違いなくいろいろと話が勝手に進む未来が……。
「大丈夫です。即OK出ますから」
「その予想が出来る怖さもあるんだが――」
「はい。両親ともに斗真先輩には絶大の信頼ですから」
「——だから後が怖い」
何故俺の信頼度が無駄に漕代家では高いかと言うと。それは家庭教師はじめて少ししたら――なんかおもてなしレベルが。それまでもすごかったが。さらにすごくなったな……と過去のことを思い出していると。
「ダメですか?」
甘えるように湖奈が聞いてきたので――まあ今までも湖奈と一緒に――と言うのはあったので。
「わかった。じゃあ、湖奈が連絡している間。俺はちょっとホテル見てくるか。値段見て――無理ならやめよう」
「やった。久しぶりですね。トマ先輩と宿泊。ちなみにお金がかかるならアイテム売ったりダンジョン潜りましょう」
「必死——ってか。そういえば、高2の時。引きこもりが家から出て来て少ししたら遊びに目覚めてたな。懐かしい」
「——えへへ」
「文は――いいか。もう居ないだろうし。明日はなんかありそうだったからな」
俺はSCAWセンターを見つつ言う。そこには文の姿はとっくにない。
「いらないです」
「ちょっとかわいそうな文」
「大丈夫ですよ。私たちがイチャイチャしてると思ってますよ」
「それはそれで―—問題では?」
「良いんです。じゃ、先輩。ちょっと」
「わかった」
それから湖奈が即ログアウト――からの俺が歩き出したら。後ろから湖奈が戻って来た。
「早すぎるだろ」
連絡してないだろ?だったが――湖奈の事だからな。高速でメッセージを送って来たのかもしれない。
「ちゃんとOKでましたよ?」
「マジ?」
「マジマジです」
「——まあ、なら、行くか」
「はい。せっかくですからいろいろとゲーム内体験しましょう」
「焦らなくてもこれだけのゲームならしばらく遊べそうだがな」
「斗真先輩。時間は有限ですよ」
結局すぐに俺と湖奈は一緒に町の方へと戻ったのだった。
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