第20話 12月18日 木曜日 C2
この階層。森のステージとでもいえばいいのか。この場所は、ちょっといいアイテムが出るようになった。または強化に使うアイテムが2つドロップするなど。進めるとちょっと変わる。とやつだな。
でもアイテムが良くなるとそれだけ攻略も大変。ゴブリンはまとまって攻撃をしてくることもあり。なかなか大変だった。
おまけに途中でゴブリンが投げた剣が刺さったからな。俺に。あれは痛い。めっちゃ痛い。身をえぐられたような感じだな。さすがに即死ではなかったが。
「ゴブリン。無駄に命中率高すぎだろ――いたたたたっ」
剣が刺さっても何とか動けた俺。とりあえず周りの敵を綺麗にしてから座り込む。傷口を見るとホントリアルに血が流れている。すると湖奈が慌てて駆け寄ってきた。
「斗真先輩。動かないでください。治療しますから。えっと――剣は抜かないとですね」
「いってー!」
「斗真先輩我慢です。剣は抜かないと傷口が閉じませんから」
「痛みもリアルすぎなんだよなー」
ちなみに怪我をしても俺達が戦えるのは、湖奈が居るからだな。湖奈が居なければ即撤退とかも考える必要があるからな。動けなくなってからでは遅そうだし。って、俺も一応回復薬とか持っているんだがな。俺が飲むより早く湖奈が飛んでくるというね。
「湖奈ー。オレの回復薬尽きたーヒール。ヒールを」
するとこちらもボロボロ。どうやら石でも投げつけられたのだろうか。たんこぶを作った文がやって来た。
「森なので薬草あるんじゃないですか?調合覚えると便利みたいですよ?」
「冷たすぎるだろ!って――確かに薬草ってあるのか?」
「あるみたいですよ?見たことはまだないですが」
「って、今は治療してくれー」
「今は斗真先輩です」
「たまには俺から」
「嫌です。はい。斗真先輩。とりあえずこれで傷はOKです。少し安静にしましょうね」
「湖奈には感謝だな」
「いっぱいしてください。あとで」
「おい、だからオレ」
「うるさいですね」
「湖奈。俺は大丈夫だから」
「——わかりました。斗真先輩が言うなら――船津先輩。適当に座ってください」
「膝枕サービスとかないのかよ」
「石を準備しますね」
「石はいらん」
それから文もなんやかんや言いつつ治療してもらっていた。
そうそう、ちなみに薬草の話がチラッと出たが。結果を言うと薬草はあった。というか。今まで俺達は鉱石は気にしていたが。その他アイテムを気にせず通過していたらしく――よくよく見てみると。木の実もアイテムだったり。キノコもアイテムだったり。森のところでは木も何故かアイテム扱いになっていた。もしかしたらこれで武器強化。新しい武器が作れるのかもしれない。
それに薬草。まあ草なんだが。草にもいろいろあるらしく。今のところでは薬草くらいしかわからなかったが。
その日次への階層を見つけた後。町へと戻り。お店の方へと行き。ちゃんと商品を確認すると、毒草などの販売もあったりしたので、ちゃんと散策中に探すと攻略に使えるものがちりばめられているらしい。
さすがに始めたばかりで隅々までというのは――だが。覚えておいて損はなさそうだった。
そうそう余談だが――。
「何でゴブリンは私ばかり狙ってくるんですかー」
湖奈のそんな悲鳴もよく森の階層では聞こえてきた。俺達も狙われるが――湖奈は攻撃をしないとバレるのかよく狙われていた。
「あれだな。ゴブリンは女好き。っか、よくゲームとかで聞く。男しかいない的な奴じゃないか?」
文が笑いながらその時はそんなことを言っていたか。
「私性奴隷とか嫌ですからね!」
「女子高生。さらっと危なそうな言葉を言うな。周りから変な視線が来るぞ」
俺が途中で湖奈を止めに入ったりも――だったな。別に会話でペナルティーはだと思ったが。周りに他の人が居なくもなかったし。そもそも湖奈――見た目がね。町に居る時でもだが『かわいい子供』『子供も参加してるんだな』と言われることがあったからな。そうみられている奴が――いろいろ言っているのはだからな。
「だって嫌ですもん。斗真先輩の奴隷なら喜んでなります」
「それはそれで言うな俺が変な視線で見られる」
「そうだ斗真。試しに湖奈をゴブリンの中心に投げてみるとか」
湖奈と話していると、冗談交じりで文がそんなことを言ったのだが――本当に湖奈嫌だったらしく。
「ウインド!」
「待て待て待て。湖奈ガチでやるな」
「ぎゃあああああ」
殺人現場——とはギリギリならなかったが。文の真横を湖奈の攻撃が通過しましたとさ。俺が湖奈を止めなければ――文かなりのダメージだっただろうな。
ちょっとしたバタバタはあったが。ゴブリンは女性プレイヤー狙うということがわかった今日だった。基本俺達がすることは変わらないがな。湖奈は回復メインなので湖奈を守りつつ俺と文がだからな。
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