第19話 12月18日 木曜日 C
2日後。俺と文。湖奈はまた集まりSCAWをプレイしていた。
何故に、2日に1回なのかというのは。俺や文は大学があるし。湖奈も高校があるためだ。ちなみに大学と言ったが、文に関しては大学以外で何かしているんだろうな?大学で見ない気がするんだが――まあいいか。俺には関係ないことだ。とりあえず2日ぶりに俺達はまた集まり。ダンジョンへと潜っていた。
前回少し武器などを強化したため少し強くなっている俺達。
そうそうやはり武器を強化すると攻撃が強くなるといった感じだったので、このゲームにおいては武器強化が大切らしい。
そんなこんなで、今日は先にまず進み様子見――だったのだが。
今は立ち止まり目の前の光景を見ていた。
「マジかー」
「ここ地下ですよね?」
「さすがゲームと言うべきか」
「いきなり森とは思わなかった」
今の俺達は暗い洞窟の内から突然の外。いや、ここは地下のはずなのだが……明るく太陽も空?というか天井にはあるしと。不思議なところに立って居た。ちなみに後ろを振り返れば、普通に洞窟。上の階層へと戻るルートがあるが。再度正面を見ると広大な――森だな。結構な高さの木々も先には見える。これ――マジかー。である。
「ホントすごいな」
「斗真先輩斗真先輩。洞窟もでしたが。ここは草とかの感触リアルですよ」
湖奈に言われてしゃがんで草を触ってみると――草だった。いや、当たり前なのだが――いや、当たり前じゃダメなのか。ここはゲーム内だからな。
でも、本当に草。ちょっと強く摘まめば、汁とでも言うのか。ちゃんと本物みたいな感じだ。って、これ本物だろ。としか言えない状況だった。それに草を抜くこともできて抜いてみると根のある草。寝には土も付いている。草を抜いたところはちゃんと穴が――である。何このリアルさ。
「これだと、そのうちゲームと現実がわからなくなりそうだな」
抜いた草を元に戻しつつ。いや、草には突然抜いて悪いだな。元に戻るかは――だが。戻しておいた。そんなことをしてから俺は空を見つつつぶやいた。綺麗な青空だ。
「——ふふっ。それはそれでいいかもですね」
「なんでだ?」
「だって、こっちは魔法が使えるじゃないですか。そのうち空も飛べるかもしれないですよ?あと――斗真先輩も居ますし」
「めっちゃ楽しんでるな。湖奈は。って、俺が居る?」
「はい!」
「どういうこと?」
「斗真先輩使いたい放題!」
「……」
この後輩。怖い。そんなことを俺が思っていると、声が聞こえてきた。
「おーい、進むぞ。イチャイチャ今日もしているなー」
「はいよ」
「もう。良い雰囲気壊さないでくださいよー」
文の声により俺達は森へと入って行く。
基本森の中はゴブリン相手だった。どこから湧いてくるのか。というレベルでゴブリン祭り。たまに横から飛び出してきたりと――ウザい。そして痛い。
ゴブリンの攻撃が当たると本当に血が出ているし。いや血のように見せているはずなのだが――生暖かい感じなどもあり。あと鉄臭いというか。マジで血。再現しすぎだろだった。
ちなみにこのゲームは、モンスターを倒した際は、魂石が出るだけで、剥ぎ取りなどがなく。モンスターの生々しいものを見なくて済むが。前回も言った気がするが。俺や文が剣で切ったりすると切断面が見えるんだよな。モンスターは体力が0になると消えるのだが――体力が残っていると身体の一部がなくても動くんだよ。ホラーかよ。
その時はその時で湖奈が悲鳴をあげているし。そして、あまり見る物ではないかな。好きな人もいるのかもしれないが――そういうのを見なくてもいいようにもアップデート希望だよ。
ちなみに真っ二つ。身体を真っ二つにしたりした場合は、即死亡なのかすぐに消える。腕とか足。致命傷にならない刺し傷はダメらしい。
「ゴブリン飽きましたー」
しばらく森を進むと湖奈が石に腰掛けつつ言った。
「ゴブリンばかりだな。この森は」
「まあいい経験値貯めだな。スライムよりかは経験値多いし」
俺が周りを見つつ返事をすると、ステータスを見つつ文もつぶやいた。
「文は自分で狩った分が経験値だからな」
「でも私も倒してませんが、斗真先輩が倒しまくってくれたのでそこそこ上がりましたよ?」
湖奈に言われて俺もステータスを見てみると。確かにはじめの頃よりかはレベルが上がっていた。あとアイテムもそこそこ貯まっている。
「これなら、町で魔法を新しく買ったりできそうだな。武器を強化すれば魔法も――らしいし」
「ですね。戻ったらしましょうか」
「ああ、だな。もう少し狩りをしてかな」
「あっ。斗真先輩。戻ったらお店で何か飲みつつ休憩もしましょうよ」
「おーい。お前ら、帰る話しているが。まだ今日は下の階に行く道を見つけてないだろうが」
湖奈と話していると、文がそんなことを言ってきて思い出した。そうだ確かに俺達今日は森を歩いているだけで、今のところ下へのルートを見つけていなかった。
「あー、確かに」
「忘れてましたね」
文に声をかけられてから、俺と湖奈もまた動く準備をして散策を再開した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます