第15話 12月16日 火曜日 C
SCAW3回目。3日目と言うべきだろうか?今日は12月16日火曜日。平日なので俺達は学校帰りにまた集まりゲーム世界へと行くことになっていた。
ちなみに今日やろうと言い出したのは文である。なのに――。
「呼び出した本人が遅刻か」
現在既にSCAWの中に居る俺と湖奈。だが1人足りない。
「らしいです。ちょうど私がゲームにログインする直前に寝坊したー!とか連絡来ていました」
俺の隣に座る湖奈がやれやれといった表情をしつつ。ゲーム内の飲み物。ホットココアを飲んでいる。味は普通にココアとのこと。そして飲むと体が温まりほんわかすると湖奈が先ほど言っていた。
「文からの連絡は――俺のところには来てない気がするが。あれか。ログインした後に連絡来てたのかもな。センター入ってからスマホなんて見た記憶ないしな」
「だと思いますよ。私もあと少し遅かったら見ずにログインしてました。たまたまログインする直前でしたから」
「にしても寝坊とは。平和なこっちゃ。文も今日は大学あったはずなのに――」
ちなみに今日も俺は湖奈と電車内で合流し、一緒にSCAWセンターまでやって来てセンター内で一度別れた後。各自個室でログイン。少し前にゲーム内で再合流したところだ。
そして合流するとすぐに湖奈から文が遅刻という話を聞いたため。2人で進めても良かったが。連絡してきているのでそのうち来るか。と2人で予想し。俺達はダンジョン入り口に広がるお店を見つつ少し歩いて食事処へと入ったところである。
食事処と言ったが普通にファミレスと言った方がいいかもしれない。建物はなんて言ったらいいのか。個人的には海の家って感じがするなー。と、開放感があるというか。入ってすぐそんな感じがしたんでね。昔みんなで言った海で見たものと近かったからだ。
そうそう、俺の隣では湖奈がホットココアを飲んでいると言ったと思うが。俺はコーヒーを頼んで飲んでいる。そしてビックリしていた。マジでちゃんと飲めるし。コーヒーの味がわかるというね。まあ湖奈が先に飲んで湖奈の感想を聞いた後だったのだが。それにしてもリアルすぎた。
「湖奈」
「はい?なんですか?」
「湖奈はホットココア飲んでいるんだったよな?」
「はい。そうですよ?あっ、斗真先輩。一口頂戴とかでゲーム内で私と間接キスしたいんですか。なるほどなるほど。良いですよ。はい」
「何もまだ言ってないからな?あと、差し出すまでが早すぎる」
勝手に解釈して勝手に飲んでいた飲み物をなんの遠慮もなく差し出してくる湖奈だった。
「えー、違うんですか?」
「えー。じゃなくて、これマジで飲み物食べ物どうなってるんだろうな。って思って、ちゃんと最後までココアかと思って」
「ちゃんと最後までココアだと思いますよ?」
そう言いながらマグカップの中を湖奈が見せてくれたが。ちゃんとココアだと思う感じだった。ちゃんと色も知っているもの。マグカップの飲み口もリアルというか。ちゃんと湖奈が飲んだ後がある。って、そこは見なくて良かった気がする。
「この分だと食べ物もちゃんと食べれるんだろうな。周りの人食べてるし」
俺がちょっと周りを見てみると、ラーメンを食べている人もいれば、ステーキを食べまくっている人も居るし。ケーキを食べまくっている女子集団も居た。
みんな美味しそうに食べている。
「ビックリですね。これ身体のどこに消えているの?ですね。」
「わかる。おまけに現実でも栄養補給されてるんだろ?」
「見たいですね」
「すごすぎてわからないわ。っか、回復薬とかも飲むタイプだったから――味あるのかな?」
「どうでしょうね?今のところ回復薬のお世話はありませんからね」
「湖奈の回復魔法もまだ出番がないくらいに平和だからな」
「早く先輩を癒したいです」
そう言いつつもたれてくる湖奈。ホントここ数日の湖奈甘えまくっている気がする。今までも普通に――だったが。ホントこの数日甘えまくっている。まあいいのだが――。
「回復だから。癒すとはまたなんか違う気がするが――」
「癒しですよ。先輩を包み込んで全てを回復させてあげたいです」
「今のところそんなボロボロになることはないがな」
あるとすれば2日前に散々引っかかりそうになった罠だが。そこまで即串刺し。とかじゃないからな。まだボロボロという経験がない俺達。すると――俺に持たれていた湖奈がつぶやいた。
「——寝坊助さんは早く気が付いてくださいよ」
「うん?どうした?湖奈」
寂しそうな表情を湖奈がした気がしたので俺がちょっと心配するとすぐに湖奈は笑顔になり。
「いえ、斗真先輩とのんびりゲーム内でくつろぐのも良いですけど早く攻略したいじゃないですか。寝坊助お船津先輩はいつ来るのかなー。と思いまして」
「ああ、そういうことか。そのうち来るとは思うが――来なかったら――だな」
「そういえば船津先輩ってどこに住んでるんですか?斗真先輩の近く?」
「いや、あいつは――あれ?そういえば――俺聞いたことないな。そもそも興味ないし――」
ふと考えてみる。実家は近くだった。だが今大学は奇跡的に同じ大学だが。家を教えて乗り込まれても――なので、俺は教えてないし。そういえば文の家も聞いたことはない気がする。多分近くではない気がするが――あれ?にしてもなんか譲歩が少なすぎるというか。断片的というか。文の事だから俺適当に聞いていたのだろうか?
「教えたからな!?」
「「出た!」」
俺がちょっと文の事を考えていると本人登場だった。いやいや隠れていたのか?タイミング良すぎないか?
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