第11話 12月12日 金曜日 C10

 ダンジョン入口へとやって来た俺達。

 現在はその前に居る。と言ったところだ。何をしているとかと言うと、ダンジョンに入る前には、大きな注意書きがあったからそれを読んでいるところだ。

 ボスエリアは扉がかならずあり。中に入ると倒すか倒されるまで出れないとのこと。その他エリアは一度足を踏み入れれば。ダンジョンに入る際に階層を指定できるらしい。はじめは第1層からで、今のところ第10層までは攻略ができるらしい。ゲームが正式に始まったわけじゃないみたいだからな。それくらいが普通か。もしかしたらはじめのボスまでが解放されているのかもしれない。


 注意書きを見た後、俺達はとりあえず第1層はと潜った。

 ダンジョン内は広い洞窟といった感じだった。ちなみに地下となるのだが。灯りとなるものは必要ないらしく。普通に洞窟内は見えた。さすがに全てが見るというわけではないみたいだが。ある程度の距離、自分を中心にしてそこそこの距離は見えるようになっているらしい。

 ちなみにダンジョン内は自由に入って行けるので、はじめ。入り口近くはそこそこの人がいた。


「正式に始まってなくても結構いるな」

 

 周りを見ながらつぶやくと文が答えた。


「一応、結構注目されているゲームみたいだからな」

「だろうな。技術がヤバいからな。マジで現実世界に出来たダンジョンに居るというか。不思議な感じだな。ホント良く文こんなところに潜り込んだというか。俺達を誘ったな」

「そりゃオレ天才だから。または関わっているのかもしれないぞ?」


 ニヤニヤと文がそんなことを言ってきた。


「それはないだろ――いや。馬鹿ならありうるか?」


 文はこういう機械系は得意な分野だ。でも――さすがにこの技術は――ない。いや、でもないとは言い切れないが。でも分は出来ない分野は全くできない。なので――無理だな。開発に関われるとは思えなかった。


「馬鹿言うな馬鹿が」

「斗真先輩。馬鹿はほっておきましょう」

「ちょ。湖奈。今先輩に向かって馬鹿言っただろ」


 さすがに後輩に馬鹿呼ばわりされたからか、文が反応したが――湖奈は何とも思っていないらしく。


「言ってませんよ?天才馬鹿って言いました」

「——いやいや、今なんか変なフリガナが見えたきがするのだが――」

「なんですか?天才馬鹿って言ってるんですけど?」


 ダメだ。今日はこの2人本当にダメだ。ということで俺が間に入る。


「はいはい。2人とも。何でダンジョン内で揉めるんだよ。っか邪魔になる」

「斗真先輩。いじめられましたー」

「はぁ……」


 すると湖奈がそう言いながら俺の腕を揺すって来た。湖奈。大人に見られたいと言っていたが――完全に俺の前では子供という――。


「っか。とりあえずダンジョンでは何するんだ?」

「あー、とりあえずはレベル上げと。アイテムがいろいろ落ちているみたいですからアイテム集めですかね?」

「広さはすごいらしいぞ?馬鹿みたいに広いという噂だからな」

「どれくらいあるんだ?」

「無限」

「……は?」


 文は今なんと言った?俺の頭にクエスチョンマークが浮かんでいると。


「無限らしい。各層広くて隅々まで散策はかなり時間がかかるらしい。というか。どんどん拡大する予定とか言っていたな。ちなみに地下へと降りていくところは複数個所あるみたいで、場所によって難易度が変わるみたいだから、いくつか降りる所を見つけるのがいいらしいな」

「規模がおかしい。マジでおかしい。無限とか第1層すら終わらない可能性じゃん」

「長く楽しめるってことだろ?いつ来ても新しい発見があるって楽しそうじゃん」

「そりゃそうだが――規模がマジでおかしい」


 それから俺と文、湖奈は今日はとりあえず第1層を攻略することにした。というかまずは探索だな。どうなっているのか見ることをメインに動き出した。

 入ってしばらくは他のプレイヤーがたくさんいたので、モンスターも狩られた後だったらしいが。奥へと進んで行くと。鉱石などがあったりモンスターも居た。この階層はスライムらしく。スライムが頻繁に現れだしたな。無限沸きとでも言ったらいいのだろうか。結構遭遇した。

 ちなみに鉱石はお店。商品を見てきた文曰く。武器強化。購入に使えるらしい。なので見つけたら集めておいて損はなさそうだった。


 ってか、現状――あまり緊迫感はなく。のんびり楽しむという感じだった。一応敵。スライムが居るって言っていたのになんでだ?と、思うかもしれないが。理由は――。


「かわいい。ぷにぷにー」


 モンスターと戯れようとしているお方も居るからだ。マジで平和だ。これでいいのだろうか?

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