第9話 12月12日 金曜日 C8

 現在俺は3人の中で唯一私服。装備を持っていない文にどうやって戦うつもりなんだ?と聞いているところである。


「それなら今から揃える。問題ない」


 俺が聞いてみると何故かドヤ顔の文。


「金は?今日始めたところじゃないのか?」

「オレは事前にチャージしてある。ボンボンアドバンテージだな。見てみろ。ステータス」


 そんなことを言いながら、文は俺と湖奈にステータスを見せてきた。どうやら(ステータス)と言うだけで、自分の詳細が目の前に表示されるらしい。ちなみに特に体力や攻撃力といった表示はなかった。装備品の名前が出そうな枠があるので――って自分のを見た方が早そうだな。


「ステータス」


 俺も文と同じようにつぶやいてみると、ちゃんと同じような画面が表示された。そして文のところには何もなかった装備品の欄だが。俺のところには杖やローブの記載があり。杖には攻撃力アップ。ローブには防御力アップ。という表示があった。どうやら自分自身の動ける能力は、本来持っている能力で、それにプラスされる形で武器と防具から能力が付け加えられるらしい。まあ詳細な数字はないので、どのくらい強いのかはわからないが。

 自分のステータスを見つつ。隣の文のステータスを再度見る。ふと目に付いたのは、プレイヤー名。文はというプレイヤー名だった。まあいつも通りだな。俺達の考えは一緒だったらしい。


「ステータス」


 すると、湖奈も俺達と同じように画面を出した。

 湖奈と俺は同じような装備武器なので同じような表示が――されてない。

 湖奈の方は、回復量アップの表示がチラッと見えた。もしかして――湖奈は聖職者を選んでる?などと思いつつその他も見せてもらうと、湖奈もプレイヤー名はと、普段遊ぶ時に使う名前を使っていた。ホント俺達打ち合わせとかしなくてもいつも通りらしい。

 ちなみにだが。この元引きこもりさん。籠っている時はゲームがお友達みたいな感じだったらしく。プレイスキルはなかなかのものを持っていたりする。


「あっ、斗真先輩パーティ登録しましょう」


 すると湖奈が俺に密着するようにちょっともたれかかるような姿勢で俺にそんなことを言ってきた。


「パーティ?あれか同じメンバーは同じ経験値が入るみたいな?」

「ですです。アイテムの共有とかもできるみたいですから便利じゃないですか?一緒に遊ぶんですし」

「ホント。スゲーな今までは画面を見て――だったのが。自分の身体を使ってになるとは」

「どんどん進化するんですよ。えっと、どれだろう?あっ、あった。斗真先輩。私から送ります。えっと、パーティ登録をする際は、5メートル以内に近づいて――ってもう十分近くに居ますね。だから、表示されたプレイヤー名を選択――あっ、斗真先輩発見」


 俺の隣で画面を操作する湖奈を見ていると、湖奈が申請というボタンを押したと同時に『ピコン』と、音が聞こえた。が、この音は俺にしか聞こえないのか。湖奈も文も反応しなかった。なので俺は特に何も音には触れず。


「来た来た」


 返事をすると湖奈が俺の画面をのぞき込んできた。

 ちなみに音の後は、見ていたステータス画面の上部に新着通知という表示が増えていて、そこを触ってみると『コナさんからパーティ申請が来ています』という通知だったので、さらに触り画面を進めると、許可。拒否の選択肢があったので、許可を選ぶと――。


 一瞬だけ俺のステータス画面が消え。すぐにまた表示された。すると先ほどまでは全体が俺のステータスだったが。左右半分半分にステータスが表示されていた。先ほどより簡素化されていた。片方が俺。もう片方は湖奈の物で、試しに湖奈の方を触ると、先ほどまで見れていた全体バージョンのステータス。湖奈バージョンが俺のところでも見れるようになった。


「あっ、斗真先輩のステータス見れるようになりました」

「こっちもだ。、ってか、湖奈もプレイヤー名はいつも通りだな」

「考えるよりそのままの方が楽って言ったのは斗真先輩ですよ?」

「そういえばはじめの頃に言ったな」

「です」

「でもそれまでは違う名前使っていたとか言っていたよな?」

「それはいいんです。過去は過去です」

「まあ、いいが」

「じゃ斗真先輩。レッツゴーです」


 登録が終わり、画面を湖奈が閉じると歩き出した。って、誰か忘れてないか?と俺が思った時だった。


「ちょちょ、マジで2人の世界だけとかやめろ。オレは?」

「裸の人なんて、破廉恥なので申請したくないです」


 手でバツ印を作る湖奈。


「着てるからな!?」


 自身の姿をアピールする文。確かに着ている。のだが――湖奈的にはダメらしい。


「っか。文。さすがになんかモンスター出るんだろ?武器くらいないときつくないか?」

「まあさすがに殴って攻略はなー、よし。先に買ってくるわ!」


 すると文はお店へと直行したが――すぐに戻って来た。

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