第12話
俺は家に帰ってきた。
白狼はなんと30万円で売れた。
これでご飯代に困ることはない。
すぐさまメイラにお金を返そうと思ったんだが、断られてしまった。
「困った時に助けてあげた時の対価なんてもらったらかっこがつかないじゃないの!!」
とのことだった。
だが、俺も男なので、女性に貸しを作っておくのは少し恥ずかしい。
なので、ちょっと多めにお金を押し付けて部屋に逃げた。
さて、ステータスを見るぞ!!
俺はステータスボードを起動した。
すると、ステータスボードが青く光だし、文字が浮かんだ。
ーーーーーーーーーー
名前 リエル
レベル 16
体力 D
魔力 D
攻撃力 D
魔法攻撃力 D
防御力 D
抵抗力 D
スキル
落下ダメージ減少 レベル 7 32/8
称号
生存者 レベル 2 2/0
落下者 レベル 6 32/4
思慕者 レベル 0
ーーーーーーーーーー
俺はステータスを見てビックリした。
まず、レベルとステータスがものすごく上がっているのだ。
俺の年でこれはすごい事だろう。
そして、もうひとつはスキルと称号だ。
落下ダメージ減少がレベル七になっていた。
強いスキルほどレベルが上がりにくく、弱いスキルほどレベルが上がりやすい。
だが、ここまで上がりが早いのは異常だ。
レベル七といえば金級の冒険者などのレベルだ。
俺は一旦考えることをやめ、称号の思慕者を詳しく見てみることにした。
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【思慕者】
レベル0
ある人に対して強い思いを持っている者に与えられる称号。
ある人への思いが強いほど特殊効果が現れる。
特殊効果
ステータス補正
技術補正
奇跡が起きるかもしれなくなる
ーーーーーーーーーー
うん。
これは......メイラの事だよな?
俺は少し顔を赤くした。
よく考えたら思いの力で強くなるってちょっとキザっぽいよな。
だが、この思いは本物だ。
「メイラ......。」
「ん? 呼んだ?」
「ぬわっ!!」
背後からメイラが出てきた。
メイラの事を考えていたため、少し恥ずかしくて俺は顔を真っ赤にした。
「きゅ、急に入ってくるな!!」
「えぇ!? ここ僕の家なんだけどな......。」
「うっ。それは......。」
「まぁそんなことはいいとして、ちょっと欲しいものがあるんだ。」
メイラが何か欲しがるなんて珍しいな。出来るだけは叶えてあげたい。
「魔石をとってきてほしいんだ。」
「なんでだ?」
「それはねぇ~。」
メイラは少し間を開けてから嬉しそうな声でこういった。
「国から直接依頼が来たのよ!!」
「なんだって!?」
国からの依頼はものすごいことだ。
例えば、国の整備に使ったり、政治に使われたりなど要所で使われるということになるからだ。
「うん。作れるだけ魔力回復薬が欲しいんだって。僕の所の安定性を買っての事だってさ!!」
「そうか!! なら俺も頑張るしかないな!!」
「よろしく!!」
喜ばしいことだ。
メイラの薬屋が国に認められたってことなのか。
そうと決まれば狩りの時間だ!! まだお昼時だし、狩りに使える時間はまだまだある!!
俺はすぐさま精霊の巣へと向かった。
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俺は鼻歌交じりに倒していった。
同時展開などを覚えたお陰や、ステータスが上がったお陰でサクサクと倒せていけるのだ。
大体倒すのに使う時間は一分ほどだ。
身体能力などが上がり、探す速度も上がりものすごい数を倒せている。
帰ることにした時にはウルフを40体ゴブリンを83体も倒していた。
レベルは3上がった。
このくらいあればかなりの数が作れるだろう。
しかし、俺も強くなったな。
最初のうちは一体倒すだけでも命懸けだったのに、今じゃちょっと舐めプしても勝てる。
そこで俺は家族の事を思い出した。
......今帰れば迎え入れてくれるだろうか。
「はっ!!」
駄目だ。あんな人たちの事を考えてはいけない。幸せが逃げていく。
俺は顔を振って忘れようとした。
はぁ。サエルの次は家族か......。
なんでお前らは俺の邪魔をするんだよ。
「あー、イライラする!!」
俺は落ち着くためにメイラの顔を思い出した。
それだけで興奮していた頭がメイラで埋め尽くされる。
「はぁ。帰るか。」
魔石を渡せば喜んでもらえるかな?
「メイラ!! 魔石を持ってきたぞ!!」
「えっ!? 思ったより多い......まぁ、多い分に困ることはないよ。ありがとうリエル!!」
よしっ!! 頑張った甲斐があったな。
それにレベルが上がったりもしたし、一石二鳥だ。
しかし、それのせいで回復薬が使えなくなってしまった。
どうせいつかはいいものを買わなくてはいけなくなるのは分かっていたが、こんなに早いとは思っていなかった。
しかも、一段階上げただけでは20%ほどしか回復できないのだ。スキルのレベルが上がったこともあり、人間メテオで受けてしまうダメージは20%になったが、それでも誤差を考えると、全回復は出来ない。
それに、もっとレベルが上がることを考えると中下級では足りなくなるかもしれない。
なので、俺は中下級の回復薬を何個かだけ貰い、その他は中級の回復薬を貰うことにした。
けど、今は邪魔出来ない。
俺は邪魔しないようにご飯を作るのであった。
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メイラの仕事が一段落し、ご飯を食べているとメイラがお礼を言ってきた。
「いやぁー。今日はありがとね。リエルのお陰で大儲けだよ!!」
「よかった。で、それの期限はいつまでなんだ?」
「一応今日も合わせて3日だよ。」
3日......存在値測定の時と同じだ。
ということはあと二日俺が頑張れば頑張るほど利益が出るわけだ。
これは俺が頑張るしかない!!
「メイラ。俺は明日も頑張るからメイラは作るのに専念してくれな。」
「うん。ありがとね。けど、無理だけはしないでよ? 昔っから人のために自分を犠牲にしてさ? 」
「あー。明日のためにも早く眠らなきゃな~。」
「もう!!」
メイラの説教はいつも長い。俺のために言ってくれてるのは分かるのでかなり嬉しいが、今日は真面目に早く眠りたい。
明日は早くに起きて魔石を取りたい。
それに、明日は新しい迷宮に行く予定だ。
夜更かしなんかしたら本当に命の危機だからな。
バサッ
俺はわざとらしく布団をかけて眠ろうとした、
しかし、アドレナリンがものすごいことになっていて眠れない。
仕方がない。目を瞑って眠れるように頑張ろう。
「............。」
「もう寝た?」
ん? 何か用があるのだろうか......いや、ここはわざと寝たふりをしよう。この前の仕返しだ!!
「......寝たんだね。」
トコトコ
こっちに寄ってくる音が聞こえる。
寝るのかな?
そう思っていると。
ギュ
背中に温かさが広がる。
「ーーーーーっ。」
ギリギリで踏みともだった。そうだ。この事をネタにしてからかうぞ!!
「今日はありがとね......無理だけはしないでよ?」
そうメイラは俺の耳元で言った。
ううっ。近い!! けど我慢我慢......。
「これはお礼だからね......。」
そう言ってメイラは俺の頬にキスをした。
「~~っ!!」
「あっ......。」
やばい。少しだけ声が漏れてしまった。
俺の顔がどんどん熱くなっていくのを感じる。
「ねぇ。リエル......起きてるでしょ?」
「............バレたか。」
気まずい空気が流れる。
こうなったら!!
「くぅくぅ。」
俺は寝る真似をした。演技は得意なためかなりの完成度だ。
「はぁ。演技しなくてもいいよ。起きてるんでしょ?」
「............うん。」
バレた。
そりゃさっきまで喋っていた相手が急に寝るなんて無いもんな。
どうしよう......。
「しょうがない!! はい。これ飲んで!!」
「なんだこれ?」
「睡眠薬!! この空気で眠れないでしょ?」
「そうだな。ありがとう。」
俺はありがたくそれを貰い、飲んだ。
どんどんと眠くなってくる。
「ん? あれ......メイラの分は......。」
よく見たらメイラの分がない。
「え、えっとね、その、まだあるよ!!」
「そっか。」
ならよかった。
俺の意識はそのまま闇へと落ちていくのであった。
ー
ーーーー
ーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーー
ー
ガバァッ!!
俺は勢いよく飛び起きた。
薬を使ったからか頭が少しいたい。
「あ、えっと、その、おはようございます。」
「ん? どうした?」
メイラの様子がおかしい。
いつもならものすごく朝が弱くて、俺より早く起きるなんて事はあり得ないはずなのに......。
よく見たら目に隈も出来てるし、何かあったのだろうか。
「あ!! その、決して悪いことはしてないからね!?」
「うーん。」
いや、悪いことしたなんて思っていなかったが、ちょっと怪しいな......てか、完全に自滅じゃん。
ちょっと焦っている姿も可愛いため、変に探らないことにした。
「じゃ、今日も狩りに行ってくるよ。」
「うん!! がんばってね!!」
メイラはやや強引にそう言って俺を見送った。
さて、今日も頑張りますか!!
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