第3話 悲しみ

その友達が3年前に亡くなった。白血病だった。

亡くなった日の朝に他の友達から連絡をもらった。7年も病気と1人でたたかっていたのだ。

友達は私に病気のことを言わなかった。いつも笑っていた。


私は救急の看護師として沢山の人の命を助ける手伝いをした。だけど、友達の辛さも手助けも、残された時間さえも、一緒に泣いてあげることもできなかった。


友達が少ない私にはダメージが大きかった。親友と呼べる友達は1人しかいなかったからだ。

聞いた時はすごく悲しいのに涙がでなかった。涙が出ないことにびっくりした。涙も流れないので悲しみは深くないのかとも思ったが、予想以上に私の心は大きな穴があいていた。



それからは、なんだか仕事に行くのが辛くなり、仕事の意味がよくわからなくなった。無力な自分がいろんなところからおいていかれているような気になった。そして看護師を辞めた。


それから、ゆっくり時間がすぎ、ぽっかり空いた穴を時間ときが埋めてくれた。


やっと親友との思い出を振り返ることができるようになった。いつも必ず遊んだ後は、カフェにいって楽しく過ごしていたことが次々に思い出した。


親友と最後にやりとりをしたメッセージ記録を開けば『またカフェに行こうね』との文字が最後のメッセージとして置かれたままになっている。

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