2-2.管理区域

2-2.管理区域


管理区域は職員のスタッフ達の控え室、更衣室、トイレ、警備室、医務室、管理者のオフィスなどがあり、さらにその先は倉庫となっていた。

倉庫は搬入口があって外につながっているが、ドアが固く閉ざされている。

誰かがドアを溶接したようだ。


『籠城してたのかな?』

『ドーン・オブ・ザ・デッドみたいね』

『懐いわね』

スラッシャーズはおしゃべりに興じている。

口ではなんだかんだと言っていても、仲がいい。


ルチアは警備室に向かった。

ドアを開けて入ると、頭を撃ち抜かれた死体が何体か転がっていた。

制服を着ているので警備員のようだ。


『感染して撃ち殺されたのかも』

『管理区域も汚染された訳ね』

『生き残りはいるかな?』

「私たちの仕事は生き残りを探すことじゃないわ」

ルチアは言った。

「ゾンビを駆除することよ」

『ワクチンは持ってきてる』

マーガレットは懐からハードケースを取り出した。

『用意いいな』

ジェニファーが目を丸くした。

『今回のゾンビはウィルス性のものよ』

マーガレットは警備室のデスクにケースを置いた。


「送風機を再稼働させて、これを通風孔に散布すればモール全体に拡散できる」

ルチアは説明した。

「これまでの仕事に比べたら簡単な方ね」

『早く終わらせたらショッピングしてもいいかな?』

『仕事とプライベートは分けてよね』

『かったるい仕事だね』

コメントはJ→M→Fの順。


「じゃあ…」

ルチアが言いかけたところで、


「うぅぅ…」


警備員の死体が動き出した。

警備員の死体は、のっそり起き上がってルチアの前に立ちはだかる。


「!?」

ルチアは身構えた。

反射的に懐のホルスターから銃を抜いて、撃つ。


ドシュッ


肉を貫く音が響き、警備員ゾンビは倒れた。

そして、倒れた所が、テーブルの上。


ガシャン!


ハードケースが床へ落ちて、中のワクチンを入れた容器が割れた。


「あ!」

『あ…』


その場の空気が一瞬凍りつく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る