第2章

2-1.薔薇

2-1.薔薇


ジェニファーとマーガレットは群がるゾンビどもを倒し続けた。

そして、モーゼのように死者の海を渡り、モールの入口まで来た。


ルチアとフラニーは車を置いてモールに入った。

ジェニファーも若干遅れて入ってくる。


『ふー、疲れた』

ジェニファーはそんなことを言ってるが、全然疲れた様子はない。

「まだ中にもいるから頼むわね」

ルチアは言って、モールの中を見回す。

ゾンビどもは屋内のいたるところにいた。

『アイサー』

『仰せのままに』

ジェニファーとマーガレットはうなずいて、屋内のゾンビを片付けに出た。

斬撃に次ぐ斬撃。

マグロの解体ショーのように肉塊が生産されてゆく。


「管理区域に行くわよ」

ルチアは“プライベート”の表示があるドアを指し示した。

『では私が』

マーガレットは先頭に立ってドアを開け放った。

その後に、ルチア、フラニーが続く。

ドアの中にも当然のごとくゾンビが溢れており、どこからこんなに人が来たのかというくらいである。

『後ろはまかせて』

ジェニファーはドアの前に立ち、寄ってくるゾンビどもを叩き斬る。

『数が多いわね』

マーガレットは言って、

『薔薇よ、敵を縛れ!』

掌をゾンビどもに向けた。


シュバッ。


掌から幾条もの薔薇の蔓が伸びてゆき、ゾンビどもに巻き付いた。

ギリギリと締め付け、やがてボキボキッという音がして、ゾンビどもはくずおれた。


『相変わらずキモイ術だね』

フラニーはしかめっ面。

『あなたに言われたくないわね』

マーガレットは微動だにせず言う。

「ケンカしてる場合じゃないわよ」

ルチアは先を促す。

ゾンビの数は減ったものの、まだ通路の先に多数残っている。

「魔術はなるべく温存して」

『了解』

『MPが足りなくなるからね』

フラニーが冗談を飛ばす。

が、誰も笑わなかった。

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