第79話 新たなる侵略者 その2

「父上、北国から宣戦布告の書簡が……先ほど北方警備隊から届きましたわ」


 こちらは王宮。

 国王の元へ王女である勇者ユウが手紙を持ってやってきた。


「なんということだ……できるだけ争いは避けたいのだが……」国王が困った様子でいると、ユウが言った。

「私がなんとかして参ります。マオ……いえ、魔王にも協力を仰ごうかと」

「おお、そうか。しかし流石のユウといえども一人では心配じゃ。何せ相手は大軍。兵を集めて準備をさせよう。そうだ、アッシュとハンナにも声をかけよう」


「いえ、その必要はございませんわ。兵といえども我が国の大事な民。誰一人として命を失うわけにはいかないのです」

「しかし……」

「ご心配なく、父上。私は女神の寵愛を受けし勇者ユウです。必ず、敵の進軍は食い止めて帰って参りますわ」


 ユウは国王の申し出を制して、一人、城を後にした。

(二人が来たら邪魔じゃないの! ましてや兵を集めるだなんてとんでもない! マオと二人っきりでとっとと戦いを終わらせて……その後、ぐへへ)そんなことを考えていようとは、国王は知る由もなかった。

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