第78話 新たなる侵略者 その1

「マオ様! 北の海のほうから侵略者と思わしき軍団が!」

 魔王の間に慌てた様子で鎧の騎士が入ってくる。玉座に座るマオの横には新しい側近である獣人族のカノンと骸骨剣士のホリィが姿勢正しく立っていた。


「侵略者?」マオが眉をピクリと動かす。

「マオ様、魔王軍総出で迎え撃ちますか?」カノンがそう尋ねるが、マオは顔を横に振った。

「いや、私一人で十分だ。魔族のみんなを守るのが魔王の仕事。しばらくここを空ける。カノンとホリィは留守を頼んだ」

「はっ!」側近の二人は深々と頭を下げた。


「じゃ、ちょちょっと片づけてくるから!」と軽いノリで魔王の間を後にするマオの後ろ姿を見ながらカノンは思った。

「私たち魔族のことを最優先に考えてくださるマオ様……ううっ、マクベス殿の後を継ぐことができて……このカノン、嬉しゅうございます!」


(せっかくだからユウちゃんを誘おうっと! ふふふ……侵略者さん、来てくれてありがとう!)なんてマオが思っているなんて露知らず。

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