第77話 和平協定百周年記念式典 その5
「はあ、はあ。
「
マオとユウは演舞を終え、お互いを称え硬い握手を交わした(という芝居)。闘技場内の観客は興奮気味に席を立ち、拍手を送る。中には感動のあまり涙を流したり、長生きしている魔族だろうか「おお……まさに百年前の戦いの再現じゃあ!」と昔を懐かしんだりする者たちがいた。
ユウとマオは手を繋いだまま、もう一方の手で剣を持ち、空高く掲げた。そして声高らかに宣言する。
「こうして、お互いがお互いの強さを認め合い、百年間友好関係を築いてきた。それはこれからも変わらずに、ずっと!」
ワアアアアァッ! っと会場中から歓声が沸き起こる。二人はさらに続ける。
「争いからは何も生まれないのだ!」
二人は持っていた剣を手放す。カランカランと音を立てて二人の武器は地面に落ちる。
「これからもこのように……人間と魔族が手と手を取り合って歩んでいこう!」
ユウとマオは、今度は握っていた手を空高く掲げた。ワアアアアッ! と歓声がさらに大きくなる。
しかし観衆は気づかなかった。二人の硬く結ばれた手が恋人つなぎになっていることを……。
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