第76話 和平協定百周年記念式典 その4

「うおおおぉ!」

「はあああっ!」


 剣と剣とがぶつかりあい、火花を散らす。二人は顔を近づけるとニヤリと笑い、距離をとって離れる。そして再び勢いよく走り出し、剣を振るう。

 演舞という名では片づけられないくらい壮絶な戦いが繰り広げられていた。この戦いは一瞬たりとも見逃してはならないと、闘技場内にいる全員が固唾を飲んで見守っていた。


好きっ、魔王マオ!」

「同じくっ、勇者ユウちゃん!」


 いったいどこに隙があるのか、見ている観衆は全く気づかない。実力はほぼ互角。そしてお互いの国の姫様がこんなにも力を持っていることを知り、だんだんと応援にも熱が入ってくる。


「すげぇぜ、二人とも!」

「魔王も勇者も、どっちもがんばれ!」

 初めはしんとしていた会場に熱気がこもり始めた。そんな様子にユウとマオも気づき、嬉しくなる。


「さあ、そろそろ仕上げだ」

「ああ!」

 演舞という名のイチャイチャはそろそろ終わりを告げようとしていた。

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