第75話 和平協定百周年記念式典 その3

 先ほどのコンサートとは雰囲気が一変。闘技場がしんと静まり返る。

 中央には勇者ユウと魔王マオが向かい合って立っている。


 勇者ユウは金色のティアラに白銀の胸当てを装備し、王国に伝わる伝説の剣を手にしている。魔王マオは漆黒の鎧に禍々しい形の剣を持ち、ニヤリと不敵な笑みを浮かべている。それをみて、勇者ユウもにこりと微笑み返す。

 会場の観客があまりにもぴりぴりとした雰囲気に「これって、演舞……なんだだよな? 本当の戦いが始まるんじゃないよな?」と心配しだすほどだった。


 しかし実際のところ二人は、

(はぁーっ、ユウちゃんの装備、かっこいい! そしてやっぱりカワイイ!)

(マオ……相変わらず素敵……ああ、今すぐにでも抱きしめたい!)

 そんなことを思っているのだった。


「それでは、今から百年前……実際に行われたであろう勇者と魔王の戦いを、演舞という形で再現いたします! 演じますのは、我が国の王女、ユウ様と魔界の王女、マオ様です!」


 アナウンスが告げられ、ごくり、とみなが息を飲む。

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