第73話 和平協定百周年記念式典 その1

 1ヶ月後。

 城下町の外れにある闘技場にたくさんの人が集まっている。今日は人間と魔族が和平協定を結んでからちょうど百年。その記念式典が開かれるのだ。


 会場には人間も魔族も関係なくひしめきあい、お互いに話をしたり笑いあったりする姿も多くみられた。そのきっかけはマクベスとアッシュの筋肉からだだった。人間界のジムでトレーニングしたことが話題となり、マクベスは人間界で人気者になった。その巨体に似合わぬ礼儀正しさ(マオの側近として言葉遣いとか学んでいてよかった!)と優しさが「魔族は怖い存在」というイメージを覆したのだ。

 闘技場の周りには多くの屋台の出店もあり、その中には魔界からやってきた店もあった。


魔界の混沌から生まれ出た黒い氷塔ビッグ・チョコレート・ソフトクリーム

地獄の煮湯に泳ぎし肉塊と小麦色の細い魂ピリ辛チャーシューラーメン

 などのネーミングセンスが人々に大ウケし、それも人間と魔族を近づける一つの要因となった。


 さあ、間も無く式典が始まる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る