第72話 残されたものたち その3

 ふっふっふっふっ。

 はっはっはっはっ。

 城下町にある国営のトレーニングルームに二人の声が響く。ストイックにトレーニングを続ける二人の筋肉マッチョの周りに、他の筋肉トレーニーが続々と集まってくる。


「すげぇな、アッシュと張り合える筋肉やつがいるなんてな」

「っていうか、あいつ……もしかして魔族?」

 そんな会話も聞こえてくる中、アッシュとマクベスはトレーニングを一旦やめて、水分補給をする。そのタイミングを狙って、当然のように他の筋肉トレーニーが話しかけてきた。

「おい兄ちゃん、すげぇ筋肉からだだな!」

「もしかして魔族なのか? 魔界にすっごくいいトレーニングジムがあるって聞いたけど、本当かい?」


 マクベスは人間の筋肉ものどもがやたらとフレンドリーなことに戸惑いつつも嬉しさを感じていた。ここには人間も魔族も関係ない、ただただ筋肉きんにくを愛する者たちがいたのだった。

「人間と魔族……仲良くなれる日は……もう、すぐそこまできているのだな」

 マクベスの筋肉からだがどことなく嬉しそうだった。

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