第71話 残されたものたち その2

 「うええぇん! ティファニーさーん! そんな、そんなの悲しすぎますぅ!」

 ハンナは目から大粒の涙をながし、ハンカチを噛みしめながらティファニーと話をしていた。

「ありがとね、私なんかのためにそこまで泣いてくれるなんて」

「だっでぇ、ぐすん」


 どんな話だったのかはわからないが、ティファニーの身の上話を聞いてハンナは感動のあまり涙が止まらなくなってしまった。そして、改めて魔族という存在が敵対するものではない、ということに気づいたのだった。


「ふふふ、ハンナちゃんもかわいいところあるのね、嬉しいわ」

 といって、ティファニーがハンナにぐっと近づき、人差し指で彼女の顎をクイっと持ち上げる。そして、突然低い声で、

「だけどはさ、こうやってイケメンになってハンナを口説き落とすこともできる……かもしれないんだぜ」とささやいた。ハンナのハートのど真ん中に愛の矢が一本、綺麗に突き刺さり彼女はブボっと鼻血を出す。


「きょ、今日はユウ様にイケオジにティファニーさんに……愛のフルコースだわ!」

 二人の楽しい会話はまだ続いた。

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