第69話 平和への道のり その5

「私は式典の打ち合わせで国王に面会するためにやってきたのだ。姫よ、私を王宮まで案内してくれないかね?」

 大魔王ダイマはユウに向かって言った。姫、という言葉に反応したのはマオだった。


「え、ユウちゃんってお姫様だったの? 勇者じゃなくて?」

「あ、えっと、勇者でもあり姫でもある……って感じ? えへ」

 またユウは軽く舌を出してごまかした。


「でっ、でも! 勇者が魔王を倒しに行くっていうのは? 私は国王様にユウ様の護衛を頼まれていたのよ! 国王様だって魔王を倒すって考えているのよ!」

 ハンナがまた口を挟む。確かにそう言われれば……とアッシュもうなづく。それに対してダイマが答える。


「式典の中で勇者と魔王の戦いを再現する演舞がある。今回はそちらの姫とうちのマオが勇者役と魔王役となって出演するんだ。魔王城に何度かやってきてくれたのも、その打ち合わせのためだろう? なあ姫」


 はぁ、そうだったの? という顔をして、戦士アッシュ、そして僧侶ハンナも同時にユウの方を見る。

(え、そうだったんだ……私はてっきり勇者が魔王を倒すものと思っていたんだけど……)という感情を一切表に表さず、ユウは言った。


「ええ、そのとおりですわ!」

ドヤ顔であった。

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