第68話 平和への道のり その4

 大魔王といっても、禍々しいオーラを放ったり、不気味な格好をしているわけではない。ジーンズに胸元を少し開けた白シャツ。そこから見えるさりげないアクセサリ。いかにもイケオジの雰囲気を身に纏い、黒髪の短髪からのぞく二本のツノがセクシーだった。


(なっ、なんて素敵なオジさま! だめよハンナ、私にはユウ様というお方が!)

 大魔王と聞いて身構えていたハンナだったが、イケてるオジさまの大魔王ダイマを見て、彼女の心はときめいた。


「さて、小娘よ」低くて渋い声でダイマが話始めようとすると、すかさず、

「ハンナといいます!」ハンナが自己紹介をした。

「……うむ、ハンナよ。人間と魔族が和平協定を結んで今年で百年。こちらでも記念式典が行われるはずなのだが……国王からそう言う話を聞いていないのか?」


「あ……そういえば」

 ハンナは先日、アッシュとともに国王に呼ばれた際に記念式典が何たらかんたらといっていたのを思い出した。ユウ様のことで頭がいっぱいで、話半分で聞いていたけど、あれって隣国との式典かと思ってたら……まさかの魔族の国との式典だったの?


「あっ!」思わずアッシュも声を上げていた。どうやら彼も思い出したようだ。

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