第70話 残されたものたち その1

 大魔王ダイマと王女(勇者)ユウ、そして魔王マオの三人は王宮へと向かった。現在、城下町にある勇者の自宅に残っているのは、巨人族のマクベス、道化師のティファニー、戦士アッシュ、僧侶ハンナの四人だ。


「……暇だから筋トレでもするか」

「おっ! なら今度は人間の世界のトレーニングジムにでも行ってみないか? 魔王城のトレーニングルームに負けず劣らずだぜ!」


 マクベスとアッシュは二人だけで盛り上がり「じゃ、そういうことだから!」と出かけてしまった。これで、部屋の中にいるのはティファニーとハンナだけになってしまった。


「……(き、気まずい)」ハンナは無言のまま、まごまごしていた。ティファニーは、そんなハンナになんて声をかけていいかしばらく考えた後、口を開いた。


「ダイマ様、イケオジでしょ」

「なっ、何よ突然」


 顔を赤くしながらハンナが動揺する。そんな姿を見て、ふふふっと笑いながらティファニーが言う。


「わたしもひと頃ときめいていたもの。どう、女同士腹割って話でもしない?」

「……女?」

 ハンナはティファニーのことがよくわからなくなった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る