第65話 平和への道のり その1

「だっ、誰よ!」

 ハンナが誰ともわからぬ声にビビりながら、周囲を見回す。すると突然ワープゲートが開き、そこからタンクトップ姿の巨人族マクベスと戦士アッシュが現れたのだった。


「そもそも人間と魔族の戦いは遥か昔に終わったことなんだ」


 筋肉を肥大化させて、汗で光った体を自慢げに見せつけながら、アッシュが話し始めた。隣にいるマクベスも目を閉じて、うんうんとうなづく。

 マオ、ユウ、ハンナ、ティファニーの四人は、突然現れたムキムキテカテカ明日も♪晴れるかな〜♪の二人に絶句しながらも、一応話を聞いてあげることにした。


「確かに、人間と魔族は戦っていた時代もあった。でもそれは何百年も前の話だ。とにかく、勇者と魔王の戦いは終わり、世界は平和になった」

 何か言いたげなハンナの動きを、アッシュが「まあ話は最後まで聞け」と胸の筋肉をぴくぴくっと震わせて止めた。

「だけど、人間の世界では未だに魔族は人間の敵だ、みたいな捉え方をされている。魔族は違うんだ。人間も受け入れて、仲良くしようとしている」


 なあ、と言ってアッシュはマクベスと硬い握手を交わした。あっ、これって一緒に筋トレして仲良くなったパターンだな、とみんなにすぐにバレた。

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