第43話 魔王襲来 その3

 他所よそのお家にお邪魔するときはノックをしてから。自分から扉を開けるのではなく、住んでいる人が開けてくれるのを待つ。これも大事なマナー。そうしたら、出迎えてくれるはずなので、向こうが「どうぞお入りください」と言ったら、初めて部屋の中へ入る。


 礼儀正しく待っているだけのマオ(魔王)とマクベス(巨人族、側近)とティファニー(道化師、側近)だったが、とにかくマクベスがでかいので威圧感を与えてしまうのは仕方がない。


(いったいいつまでマオ様をこのまま待たせるつもりだ……)


 マクベスは少しだけ、ほんの少しだけイラっとしていた。部屋の中にいる戦士と僧侶は一向に「どうぞお入りください」と言わない。


――ユウちゃん……今留守なのかな?

 マオもなかなか「どうぞ」と言われないことから、ユウが不在なのではないかと不安になった。すると、「だれ? お客さん?」とユウの声がして、部屋の奥から彼女が姿を現した。


 いいいいい、今しかないわ! マオはごくりと唾を飲み込んでから、言った。


「好きです!」

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