第42話 魔王襲来 その2

「ままままま、魔王!」

 

 浮かれ気分から一転、僧侶ハンナは突然の事態に驚いて腰を抜かした。まさか玄関の扉を開けたら、そこにいるのが魔王だなんて! あまりにも想定外すぎた。

 戦士アッシュもガタッ! と椅子から立ち上がったが、武器を持っていない。装備一式は玄関横に立てかけてある。取りに行く暇もない。

 

 玄関先で魔王とその両隣にいる側近は、腕組みをして仁王立ちしたままアッシュとハンナを睨み続けている。ゴゴゴゴゴ……という音が聞こえてきそうなほど、魔王たちの圧は強い。

 

 ――ユウ様はまだ奥の部屋。なんとしてでもユウ様だけでも逃さなければ……この命に変えてでも!

 

 アッシュはごくりと唾を飲み込んだ。まさかまさか、こんな突然に最終決戦が始まるだなんて思ってもみなかった。そしてこんなところで自分の命が終わるかもしれないなんて。

 ハンナの方を見ると、どうやら彼女も同じ思いだったようで、二人で顔を見合わせると、うん、とうなづいた。そのときだった。


「だれ? お客さん?」

 何も知らないユウが、気の抜けた声とともに奥の部屋から出てきた。

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