第36話 勇者と魔王と温泉と その5
女湯。
ユウとハンナは気持ちよさそうに温泉に浸かっている。
「はぁ〜気持ちいいですね、ユウ様!」
「そうだね」
嬉しそうな表情のハンナを見て、ユウがふっと笑った。
「……ありがとね、気を遣ってくれて」
ユウは肩まで湯の中に浸かりながら、空を見上げた。深い森の中にある、自然にできた露天風呂。濃い霧と湯気のせいであまり空は見えなかったが、なんとなく気分が晴れやかになるのを感じていた。
なんか勘違いされている感が否めないが、ハンナとアッシュが自分のことを心配してここへ連れてきてくれたことが嬉しかった。
(はあ、ここにマオもいればいいのになぁ。ひょっこりここに来てくれたりしないかなぁ)
でも結局、考えるのはマオのことであった。
そんなことを知らず、ハンナは、
――はあぁぁぁ! ユウ様に感謝の言葉を言ってもらったわ! かわいいかわいいカワイイ! っていうか、ユウ様。体全部を沈めなくていいのよ、もっとこう……なんていうのかしら、半身浴! そう! 半身浴! もっとその可愛らしい体を見せてくださいまし!
僧侶にあるまじき煩悩の塊となって、目をギラギラと輝かせて、今まさに勇者ユウに襲いかかろうとしていた。
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