第31話 魔王の憂鬱 その3

 マクベスが突然、玉座に座っているマオの前にひざまづき言った。


「マオ様の状態異常を直すために温泉に行き、身を清めるのが良いかと思われます」


「は?」


 マオが目を大きく見開いた。マクベスったら何を言っているのかしら。状態異常? 私が? そんなこと全く思い当たる節のないマオは逆にマクベスに聞き返す。


「……どういうこと?」


 マオの隣では、ティファニーが必死に笑いをこらえているが、マオもマクベスも自分のことで頭がいっぱいで彼のことが目に入らなかった。


「最近のマオ様は、どこか心ここに在らずと言いますか……あの勇者一行がここに訪れて以降、何か魔法などかけられたのではないかと思いまして」



「なっ……! ばっ……馬鹿を言え! わわわ……私がユウちゃ……勇者なんかの魔法にかかるわけが……なっ、なかろう!」



「しかし、今もまた様子が……」


 本気で心配して近づいてくるマクベスに、マオは自分の心臓の鼓動を聞かれてはまずいと両手を前に出し「来るなっ!」と叫んだ。


 すると、隣にいたティファニーがマオとマクベスの肩に手を回し、「よし! みんなで温泉に行って癒されましょうか!」と嬉しそうに言った。

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