第28話 勇者の憂鬱 その3
「え……温泉?」
戦士アッシュと僧侶ハンナの提案に、ユウは目を丸くした。ニコニコしながら、ハンナがユウに温泉の素晴らしさを語っている。
「そう、温泉です。ユウ様。今のユウ様は若干心を閉ざされてしまっておいでです。こんなときこそ、温泉に行って、身も心も開放するのがよいと思われますわ!」
アッシュも拳を握りしめて温泉について語る。
「恐らくユウ様には、魔王の呪いがかかっているのです。そこの温泉なら呪いを解く効果もあると聞いております。ぜひ、三人で温泉に行くとしましょう!」
――二人とも、私のことを気にかけてくれているのはうれしいけど、なんか勘違いされているような……? 心を閉ざしてなんかいないし、呪いなんて私がかかるわけないじゃない。私はただ、マオに、マオに会いたいだけなの! 会って謝りたいの!
と言いたかったユウであったが、そんなこと言えるはずもなく、二人の(不純な)優しさに甘えることにしたのであった。
「いざ、温泉へ行かん!」
一番張り切っているのは、もちろん僧侶ハンナであった。
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