第27話 勇者の憂鬱 その2
あれから二日経ってもユウの気持ちは沈んだまま。結局、何が原因で落ち込んでいるのか、アッシュとハンナにはわからずじまいだった。先日ハンナに泣きついたときも、ユウは理由まで話してくれなかった。
「魔王を倒しに行くとか言わないから、いいっちゃいいんだが……」
「こんなユウ様を望んでいるわけじゃないのよね」
ユウはしばらくぼーっと窓の外を眺め、時折はぁっと大きなため息を吐く。そして自身のベッドに飛び込んでバタバタしたあと、また起き上がって窓の外を眺める。
隣の部屋でお茶をすすりながら、アッシュとハンナが心配しながらも、若干退屈そうにしていた。
(もしや……ユウ様は先日の魔王戦で呪いをかけられたのではなかろうか? 確かあのときも鼻から血を出して気絶していたし……今になって気分が優れないのは呪いのせいに違いない!)
(ああ、またユウ様が抱きついてきてくれないかしら……悩んでいるようだから、話を聞いて、よしよしすれば……ぐへへ)
二人の思惑は図らずも一致してしまった。
「ユウ様!」
窓際でぼおっとしているユウに、アッシュとハンナがほぼ同時に声をかけた。
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