第24話 城下町、ユウの家 その3

「くぁwせdrftgyふじこlp!」


 ユウはびっくりしてマオから離れ、火照った自身の顔に持っていた氷嚢を当てた。ジュウゥとあっという間に氷が溶けてしまい、「あ……こ、氷を取り替えてくるね!」といって台所へ逃げるように走った。



(はぁ、はぁ、なんでマオは起きてるのよ! って、いつから起きてたの?)

 マオから離れても、しばらくユウの胸のドキドキは止まることがなかった。



 一方、ベッドに寝たままのマオもドキドキが止まらなかった。

(え? 何? なんでユウちゃんの顔が近くにあるの……いったいどういうこと?)



 状況が飲み込めず、いまだ放心状態のマオであったが、だんだんと記憶が蘇ってきた。


――えっと、市場でユウちゃんに出会って、ちらっと胸が見えて……そっか、私はそこで意識を失ったんだ。ってことは、ここはユウちゃんのお家ってこと?


 思わずかかっていた布団を握りしめ、鼻の上までまくり上げる。そして目だけを動かして、家の様子をキョロキョロと確認する。


――すごい、ユウちゃんはここに住んでいるのね……そして、意識を失った私を看病してくれてたってこと……なんだよね。


 窓から差し込む光が優しかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る