第25話 城下町、ユウの家 その4

 やばいやばいやばい、やばいわ! もしかして、マオにキスしようとしたのがばれたんじゃないかしら! 怒ってる? 怒ってるよね、やっぱり。どうしよう!

 ユウは顔を真っ赤にしたまま、台所で焦っていた。


 ――いや、看病しようとしただけよ、そう。熱を測るためにおでこをくっつけた。それだけ。やましいことなんて何もしていないのよ!


 何食わぬ顔をして戻ればいい。だけど……その後、何を話せばいいのだろう? ユウはその場でしばらく悩んでいた。



 マオは相変わらず鼻先まで布団をかぶっている。

 ――布団、いい匂い……これがユウちゃんの匂いかぁ。さっき顔が近かったときも、いい匂いだったなぁ。


 すうぅぅぅ、はあぁぁぁ。マオは布団の匂いを思いっきり吸い込んで、満足そうに吐き出した。が、すぐに我に返った。


(これじゃ私、ただの変態じゃない! こんな姿、ユウちゃんに見せたら嫌われちゃう!)

 あまりの恥ずかしさに、マオはツノから蒸気を吹き出し、瞬間移動魔法テレポートを唱えた。



「マ、マオ! 具合はどうなの?」

 意を決してユウが台所から戻ると、ベッドにはもう、マオの姿はなかった。

 ただ、なぜか窓が結露していた。

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