第22話 城下町、ユウの家 その1

 顔を真っ赤にして苦しんでいるマオを抱え、ユウは市場から少し離れたところにある自宅へと戻ってきた。


「大変、すごい熱! 身体中が熱いわ!」


 ちょうど戦士アッシュと僧侶ハンナがお城へ呼び出しをくらい、家にいないのが好都合だった。急いで自分のベッドに、ユウはマオを寝かせた。すぐに台所へ行き、氷嚢に氷を入れ戻ってくる。


「うぅ……」マオが苦しそうに? 呻き声を上げた。

 ユウは突然熱を出したマオを心配しつつ、その顔を見つめる。


 ――ああ、でも……苦しんでいる顔もきれい! そして体つきも……なんて理想的な……しまった! おんぶしておけば背中に胸の感触を味わえ……いやいや、そんなことを考えている場合ではないわ! 早くおでこに氷を……!

 と、ユウが氷嚢をマオの額に当てようとするも、一旦その手が止まる。


 ――ま、まずは熱を測らないといけないわよね。


 ユウはマオのおでこに手を当てようとしたが、両手で氷嚢を持っていることに気づいた。


(普通は手を当てるんだけど、今は手が塞がっているから、しょうがないよね!)


 しばらく考えて、そして少し顔を赤らめて「うん」とうなづき、目を閉じて自分のおでこをマオの額に当てた。

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