第12話 魔王と勇者、再び その5

 戦士アッシュと僧侶ハンナもまた、勇者と魔王の戦いを見つめていた。何かあったらすぐに飛び出せるように準備をして。


 魔王討伐に出向く際、二人は国王から「ちょっとでも危険を感じたら魔法で戻ってこい」と命じられていた。そりゃあそうだ。勇者ではあるが王女でもあるユウを危険な目に遭わせたくない親心は十分に理解できる。

 

 それに、アッシュにとって小さい頃から恋心を抱いていたユウ王女を守らなければという思いも強かった。


「ユウ様……」


 剣と剣がぶつかり合い、火花を散らす。力はほぼ互角。どちらが勝ってもおかしくない。そんなとき、魔王が顔を赤らめて、ツノから蒸気を出しながら後方へ倒れた。魔王の側近であるが慌てて駆け寄る。


「勝った……?」


 アッシュとハンナは嬉しそうに勇者ユウの元へ駆け寄った。すると、彼女は幸せそうな笑みを浮かべたまま、鼻血を出して気絶していた。


瞬間移動呪文テレポート!」ハンナは慌てて呪文を唱えた。

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