第4話 勇者と魔王 その4
(魔王が私の名前を呼んでくれた……ああ、幸せ……でも、魔王の名前がわからなかった)
勇者一行は
「なあ、ハンナ。魔王の攻撃に反応できたか?」
ユウの様子を心配そうに見守りながら、戦士が僧侶――ハンナに向かって尋ねる。
「まさか。あなたはどうなの? アッシュ」
アッシュと呼ばれた戦士もかぶりをふる。
「いや、攻撃する素振りさえも見えなかった。あいつはあまりにも強すぎる」
そんな話をしていると、ユウが突然ベッドから起き上がって言った。
「私はもう一度、魔王に会いに行くことにする。だって、勇者だから!」
ユウの動機がとても不純なものだということに、アッシュとハンナは気づいていなかった。
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