第3話 勇者と魔王 その3

(きゃあっ! 名前、ユウって言うの!?  可愛い、名前まで可愛すぎるんですけど!)


 勇者ユウが可愛すぎて、その名を呼ぶときだけ声が小さくなってしまった魔王。彼女の顔を直視できずに、その後ろに控える二人を観察する。


 一人は鋼鉄の鎧に身を包んだデカい男。戦士かな。うん、どうでもいい。

 もう一人は法衣を着た女性。おそらく回復担当の僧侶だろう。なんかあの顔嫌い。


 そんなことを考えていると、突然勇者ユウが鼻血を吹き出して膝をついた。後ろにいた戦士と僧侶が駆け寄って体を支える。


「魔王……恐るべし! その距離で勇者殿に攻撃を与えるとは……」


(えっ、私は何もしていないけど……)


「一旦ここは体制を立て直させていただきますわ! 瞬間移動呪文テレポート!」

 勇者ユウとその仲間たちは魔法でその場から離脱した。


「……え?」魔王とその側近はきょとんとしていた。

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